第34話 記憶

ある広場まで来た伏野達、一年生はクラスごとに二列に並ばされていた。

その前に一年A組の学級委員が立ち、意気込みを長々と話していた。

そして、クラスの順番的に四番目に学級委員代理で意気込みを話す伏野が待機をしていた。


(割と緊張するな。大勢の前で話すのは)


伏野は割と緊張には強い方であった。

だが、それでも何百人もいる生徒の前に立ち、話すことは簡単ではないのだ。


(確かこういう時はここで失敗することよりも恥ずかしかったことを思い出せばいいだけだ。まずは恥ずかしかったことは………)


と、伏野は記憶を巡らせた。

この記憶は彼自身が学校で席に座り、黒板に目を向けていた時であった。

彼の中学からの友達、戌走が自己紹介の時に俺の名前を使って変な自己紹介を…………。


(はっ!?これは高校入学初日のやつじゃねーか。あれは恥ずかしくなかったといえば嘘になるけど、大したことないな。他にもっと恥ずかしいやつ………)


と、再び伏野は記憶を巡らせた。

この記憶は彼がどこかの芝生のフットサルコートの上に立ち、遠くから強威力のキックオフシュートをゴールに打ち込み、ゴールパフォーマンスとして叫んでいる時であった。

後から聞いた話によると、彼と次石以外のフットサル交流会に参加していた男子生徒はサッカー未経験者ばかりであった…………。


(はっ!?本当に恥ずかしいやつを思い出してしまった。初心者相手にキックオフシュートって。でも、あれは主催者の次石が悪いだろ。二人しかいない経験者が同じチームっておかしいだろ!)


伏野がそんなことを考えていると、C組の意気込みが終わった。

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