第17話 試着

「伏野!天音ちゃん!これどう?」


「いいんじゃないかー」


伏野と戌走、荒井は学校からの最寄駅の近くに営業しているスポーツショップに来ていた。

戌走は着いてすぐにまるで店ではしゃぐ子供のように伏野と荒井の手を引っ張り、試着室の前で彼女のファッションショーが始まったのだ。


「これは!?」


「いいと思うぞー」


戌走は店の試着室に持ち込める限界数である五つまで持ち込んでは、伏野と荒井に見せつける。

しかし、何故こんなにも伏野の反応が薄いかというとスポーツショップの服はあまり代わり映えがないため、ただ戌走が試着室で出たり入ったりを繰り返しているようにしか見えなかったからだ。


「天音ちゃんは!?」


「わ、私もいいと思うよ」


荒井は目を輝かしている戌走にはははと半笑いで言った。

そういうことでしか反応する術を知らなかったからだ。


「確かにこれいいよね!」


戌走は試着している薄ピンクっぽい色がメインのスポーツ着をひらひらと揺らしながら言った。


「じゃあ、それでいいんじゃないか?」


伏野は戌走にそう言った。

戌走はやや納得してないような顔を浮かべていたが、仕方なくうなづきそれに決めたようだ。

そして試着室に戻り、元の自分の服に着替えた戌走は荒井の手を掴み。


「じゃあ、次は天音ちゃんの番だね!」


と言い、伏野を置いて荒井の服を探しに行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る