第15話 根無

「伏野!伏野!!班一緒になろー!!」


「ああ。いいぜ」


さっきまで教壇の上で話していた伏野の元に戌走は駆け寄って言い、伏野はそれに答えた。

そして、もう一人伏野の元に寄ってきた。


「伏野くん、俺も一緒の班になっていいかなー?」


「次石か。別にいいぜ」


金髪眼鏡のクラスメイト、次石は伏野に言い、伏野は承諾した。


「あと一人。どうする?」


「それなんだけどさ。俺がもう一人誘ってきていいかなー?」


「別に構わないけど、誰かいるのか?」


「ああ。いるよー」


次石はそう言うと、どこかへふらふらと歩いて行き、しばらくすると一人の女子生徒を連れてきた。


「お前は確か……」


人の顔と名前を覚えるのが苦手な伏野はその女子生徒の顔を見ながら、必死に思い出そうとし、ようやく出てきた名前が。


「根無だったっけ?」


「…………」


伏野は彼女の名前をあげたが、その根無はあまり良い反応を示さなかった。

名前間違えたか?、と伏野は思っていると、代わりに次石がそれに答えた。


「そうそう。彼女は根無和香さん」


「よろしくね!のどかちゃん!」


根無の側に戌走が駆け寄り、抱きついて言った。

そんな戌走の行動に驚いた表情を浮かべ、根無は耳から何かを外し、言った。


「えっ!?ごめん、何?」


(イヤホンじゃなくて耳栓つけてたのかよ……)


と、伏野は密かに思った。

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