第11話 先約

日も暮れ始めていた頃

伏野と戌走、そして家の方向がたまたま一緒だった荒井の三人は帰路に着いていた。


「ふ、伏野くん、みんなの前でい、意気込みを言うんだ。す、すごいね」


「すごいと言われるほどのことでもないと思うけどな。選ばれた理由だって半分以上、戌走のせいだしな」


伏野はちらりと戌走の方を向きながら言った。

しかし、そこには涙目になっている戌走がいた。


「私のせいなの?」


「わーかった、わかった。俺が悪かったって」


「本当に悪いと思っているなら、日曜日私と遊んで」


「遊んでってなんだその抽象的な言い方。あと悪いんだけど、日曜は先約があるから無理だ。他の日にしてくれ」


「先約って?」


「クラスのやつにフットサルの交流会に来ないか?って誘われたんだよ。誰かが元サッカー部ってことをバラしたからな」


「ほら、やっぱり私のおかげじゃん!」


戌走はドヤ顔をしながら言った。

あながち間違いを言っているわけではないため、伏野あまり強い言い返すことが出来なかった。

そのため、伏野は感謝の意を込めて、戌走の頭をポンポンと撫でた。

撫でられている戌走は満面の笑みを浮かべていた。


「あ、そうだ。戌走と荒井、フットサル交流会に来ないか?女子も来るらしいからな」


「私、行く!伏野のサッカーしている姿久しぶりに見たいし!」


「サッカーじゃなくてフットサルだけどな。荒井はどうする?」


伏野は戌走の方から、荒井の方を向き、問いかけた。


「え、ええと、私も行きたいかな」


「じゃあ、決定な」


こうして戌走と荒井もフットサル交流会に参加が決定した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る