第12話 格好
フットサル交流会の二日前
伏野は昼休み中にそういえば、と言いながら戌走と荒井に問いかけた。
「お前ら運動できる格好とかあるのか?」
「「え?」」
思わぬ伏野の問いに戌走と荒井は動かしていた箸を止めた。
「私たちもフットサルってやるの?」
「女子については詳しくは知らないが、女子も運動できる格好は必要なんじゃないのか?」
「私、中学の頃、マネージャーで使っていたジャージ全部捨てちゃったよぉ〜。もう家にスカートとかの私服しかないよ〜」
「そういうのって女子って意外に取っとくもんじゃないんだな」
「伏野がもうサッカー部入らないって言うから全部捨てちゃったんだよ〜」
「いや、それは知らんけど。それにしても早いけどな」
伏野は戌走にそう言うと、次は荒井の方を向いて。
「荒井は運動できる格好ってあるのか?」
「わ、私も、学校指定のジャージくらいしか」
「そうか。話によると指定ジャージで来る奴はいないらふしいけど、それでも良いならそれでいいと思うけど」
「そ、そうだよね。そしたら私も運動できる服はない…」
荒井は俯き加減にそう言った。
そんな二人の様子に、伏野はため息を吐くと。
「二人とも今日の放課後空いてるか?」
伏野はそう問いかけ、二人は黙ってうなづいた。
「だったら、今日、買いに行くか。足りない金は俺が出すから」
再び二人は黙ってうなづいた。
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