第11話 強からしいんですけど

 


「遅れました~、さーせーん」


「ちょっと天音さん…!? 今何時だと思っているの…!!?」



 久々の遅刻。

 またまた更年期そうな担任の授業中で国の歴史についての勉強だったみたい。

 そろそろ昼の鐘が鳴りそうなので少し耐えれば大丈夫かな。



「貴女今まで何をやっていたの…!?」

「そんな声張らなくても聞こえてっから。昨日シャドウ作れたからまじテンアゲでー、寝ずに作ってたら身体 超ダルくなってー」

「はい…?」

「寝ずに研究とか意識高めじゃん?だから良くね?」

「ちゃんと分かるように説明…」



 ゴーン、ゴーン…と昼の鐘。



「あ、ごはん! みんな行こうぜー」

「ちょっ、天音さん…!?まだ話が・・・!」




 ─────「美優、良かったのですか?」


「うん?」


「そうですわよ…!あの先生怒ると面倒ですのよ…?」

「すっごく怒ってらしたわよね…」



 ランチをしながら、先程の事について話をするルビー達。



「まぁ、大丈夫っしょ。」

「もう、美優ったら…。それより! ね! 昨日寝ずに作ったものって何ですの?」

「そうですわ!」

「えぇ、たしかシャドウとかって…」


「そうそう!コレなんだけどさー…」



 ウキウキしている女子達の期待には答えられるぐらいの出来だ!とガチャガチャと持ってきた鞄から昨日のガラス玉を取り出す。



「あら、通りで数が足りないと思ったら美優でしたの…?」

「いやぁ~入れ物がなくって…!ちょっとパクった…!」

「あとでちゃんと戻しておくんですよっ!」

「分かってるってぇ~」



 そう言いながらキラキラのカラフルな粉達を並べていく。

 そして数少ない持ってこれた私のメイク道具。



「これ、前にルビーにメイクしたじゃん?」

「えぇ…」

「とってもお美しいかったですわよね」

「それはもう…!」


「この目の回りに塗ったやつがシャドウね。アイシャドウ。」

「あぁ!と言うことは…」

「そーなんだよねぇ~! もういくらでもアイメイク出来ちゃう!」



「凄いですわー!私にもメイクしてください!」ときゃあきゃあ騒ぐマリンとペリドット。

 ふふん!と私も鼻が高くなる。



「でも作れたのシャドウだけだしフルメイクは出来ないんだよねー。ベースとかファンデとか色々作れるかやってみたいんだけどー、何か力出なくってさー…」

「それはエネルギーの使いすぎですわっ!」

「使いすぎ?」

「そうですっ!だって昨日ずっと作っていたんでしょう?」

「え、う、うん…」



 聞くとどうやら今私はエネルギー不足らしい、これ以上身体に無理をさすと最悪死んでしまうケースもあるんだって…。

 厳しい隣国との闘いで人員不足で無理をして、身体の機能を動かすエネルギーまで使ってしまって死んじゃった。とか昔はよくある話だったからしっかり休息をとりなさい!と怒られました…。


 んーじゃあその間何をするか…。



「あ!そうだ! この作ったシャドウを入れたいんだけどさ!こんなケースとか、売ってないかな?」



 ルビー達に見せたのは、パレットケース。

 私が持っているのはチークやグロスも一緒になったやつだ。



「「「う~~ん・・・」」」



 3人共除き込んでまじまじと見るが、同時に首をかしげる。



「あれ…もしかして、ない…」


「そうですわねぇ…」

「私はちょっと見たことございませんね…」

「売り物としては無いのでは…?」


「そっかぁ…」



 どうしようか、このままガラス玉パクってるわけにも…。と思っていたらペリドットが口を開いた。



「私の家はオーガニックのオイルなどを扱っている店を経営しているのですが、そちらで使っているビンなどもジョン・シャトルーズ限定として とても人気で、最近 平民の棟にそのビンや入れ物を作る優秀な人材を見つけたんだよ!とお父様が騒いでおられました。その方もまだ学生ですし働いているわけではないので、頼めば何とかなるかもしれません。」

「マジで!てか、オーガニックオイルの店とか興味あるんですけど!」

「ジョン・シャトルーズのお店はすっごくお洒落で評判ですのよ!尚且つ香りも良いですしオススメですわ!」

「今度皆さんで一緒に行きましょうか、せっかく美優も来たのですから、ね!」

「ちょー行きたーい!」

「分かりましたわ!従業員の方にもお伝えして、良さそうな日を聞いてきますわ!」

「やったーーい!これぞJK!初めての放課後ぶらり~!」


「あと、お父様に美優の入れ物についても相談してみますわね!ここぞとばかりにお父様の権力を使って見せますわよ!」



 人差し指を口に当て、にまっと笑顔のペリドット。



「え、すっごい恐いこと言ってない!?」

「あら、美優ったら、シャトルーズ家の方々は皆おっとりしているように見えますがとてもしたたかですのよ?」

「そうですわよ~!あまりナメてかかってると噛まれてしまいますからねっ!」

「ひえっ!」

「もうっ!ルビー様までっ…!」



 あはは!と騒ぐ私達。


 何だか今日は普通のJKって感じだったなぁー

 向こうの友達は元気かなー。

 と、ふと思い出した私だった。


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