第10話 やべー魔法使えるっぽいんですけど
「えーー!めっちゃすげーー!」
今日は、まほーじゅぎょー。
私が初めてということで、初歩の初歩と皆の属性紹介をしてもらっている。
それぞれ机に用意された蓋付きのガラス玉のような中に、自分の属性魔法の少量分を出してもらう。
ルビーは炎。マリンは水。ペリドットは植物。
ガラス玉の中に火が灯ったり、水がちゃぷんと貯まり、草が生えたり・・・
なにこれやば~! めっちゃSNSあげたっ!
「はぁ…さすがルビー様の炎は美しいですわ…」
「こんなに小さくとも気品に満ちていますわよね」
「えぇ、惚れ惚れいたしますわ…」
「ありがとう。皆様の魔法も私には出せないものなのでとってもお綺麗ですわ」
わりと名前通りじゃね?って思うっしょ?
それはホントにそうで、属性能力が高かったり強かったりする人の子はその属性や強さも引き継ぐ(勿論、突然変異もあるけども!)ので皆それっぽい名前を付けるんだって。
能力同士の相性でも引き継ぐ属性も違うらしくて、
たとえば、炎と水の子は水。だけど個人の能力差や、家系によっては炎が生まれたり、全く違う属性の子が生まれたり 。・・・となんだか理科みたいでヤな感じ。
私らの世界でいうとこの血液型的な感じ?
あと同じ属性でもあまりにも能力差があると薄まるらしい。
強火と弱火の子は中火…的な?
「でも強ければ強いほど属性決まっちゃうとか楽しみ無くなんね?」
「そうかしら…? 皆様おそらく誇りに思っているかたの方が多いと思いますよ…?」
隣の席に座っていた雷属性の女子に話しかけると不思議そうな顔をする。
たぶん名前はラムちゃん?
「ふーん、そーゆーもんなの?」
「そーゆーもん…だと思いますけど…。私達 貴族家のエンブレムなども属性をモチーフにしたものが多いですし…属性の強さもステータスになりますから。能力が高ければ貴族の階級が上がることだって、下がることだってあるんですのよ?」
「へぇ…」
そもそも、属性能力が高かった者達が貴族という立場になったらしい。
逆に平民の能力は、このクラスの人達がガラス玉に出した能力が精一杯の力なんだって。
『だから能力を残すための政略結婚は仕方がない』
う~~ん…分かるけど… 能力を守る為… 分かっけどさ…
その前に個人の好きとかゆー感情はどうなんだろう…。
まっ、別に私がどーにか出来るよーな事じゃないけどさぁ~。
「そーいえばクロウはどんなのー??」
普段授業でクラスの子と話してる様子がないクロウは今日も黙ったまま。
しょーがねーなー、あたし優しーかんなー、話しかけてやんよー。
と、近寄って覗いてみる。
「何ソレ???」
ガラス玉の中には灰色のモヤモヤがぐるぐるして電気みたいなのがバチバチいってる。
何それ。と聞かれ、なんか暗い顔。
あれ…やべーこと聞いた感じ?
ちょっと冷や汗が出そうになったとき、クロウが口を開いた。
「・・・嵐だ。」
あー、フォードリーム的な感じー?
「ふーーん」
「ふーんって…。何も…思わないのか…?」
「は?風集めて巻き起こせんぜ~って感じっしょ? まぁ、その顔ならアイドルはいけるけどさ!」
「・・・え…?」
「え?って何だし! 雨も風も思いのまま~凄いね~って言ってほしかったってこと?? 意外と女々しくねー??」
ざわざわ───
「そうか…成る程…」
「あっ、違うか。 男は自慢したい生き物って言うもんな!あたしの察しが悪かったよ、ごめんごめーん!」
「ありがとう美優。感謝するよ、心から。」
「…え?あ、うん。何かよく分かんねーけど…」
そんなに褒められたかったのかな…?
さすが異世界の男…理解しがてぇ…。と首を傾げていたら「さぁさぁ、もういいでしょう」と魔法授業の先生。
紺のローブを着た50代ぐらいのおっさん先生だ。
「次は君の番だ。」
私を指してそう言った。
席に戻ったのを確認すると、能力のエネルギー源がどうたらと軽く説明をし、皆お待ちかねのメインイベント。
「自分の中心から、掌にエネルギーを流すような感覚で…そして…そこから…ガラス玉の中に、造り出す…!」
「う"~~~~ん・・・」
「さぁ・・・!!」
正しいかは分かんないけど言われた通りにエネルギーっぽいのを流してみる。
異世界から来たヤツの能力はどんなだと、皆ゴクリと生唾を飲んで私の机のガラス玉を見つめている。
そんなに見られたら緊張すんだろー!?
期待されて何も出なかったら ちょーガッカリじゃーーん…!
「う"~~~~ん・・・えーーーっい!!!」
ボッフン・・・! と、何か出た。
良かった…。何かは出た…。
何だ何だと今度は皆立ち上がり、机を囲む。
「どうだ…!?何が出たんだ…!?」
先生が駆け寄るとスッと道をあけ、何とも言えない表情…。
「・・・・・・何だ・・・コレは・・・。」
私のガラス玉の中にはキラキラした茶色い粉のようなもの…。
「うーーん、なんかどっかで見たことあんだよねーー…」
私はガラス玉の蓋を取り、掌に粉を出してみる。
すると、皆私からサッと距離をとった。
え…? めっちゃ失礼じゃねーー!?
さっきまであんな近寄ってきてたくせに…!
「・・・うーん、なんだろーなーコレ・・・」
指でつまむと意外と細かい、そして指先に粉が馴染んだ。
「なんかどっかで・・・」
そこでハッ・・・!と気が付いた。
「やっべぇ…!!これシャドウだ・・・!!!」
「シャドウ…?」
「なんだそれ…」
「どういったものかしらね…?」
「マジか!!!シャドウ作れた…!!ぱなっ!!!あたし天才じゃね…!!?」
「何かよく分からんが凄いのか…? おい…?」
「アガるんですけどーーー!!!幅広がるーー!!」
「天音くん…? ま、まぁ…落ち着いたら話を聞くとしよう…。今日はここまでで…。」
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