第12話 悪の悪巧み感ぱない



「やば~!めっちゃ可愛いんですけど~~!!」




今日は早速ペリドットの家のお店、ジョン・シャトルーズへ向かっている。

思ったより日取りもすぐ決まったので、もー今めっちゃ楽しい!だってさ・・・!?



「やばっ!映え…!街…!!かわっ…!!」


「映え?? 美優ってたまによく分からない言語使われますよね、やはり世界が違うからなのかしら…?」

「ですわよね、しかもその四角い板をいつも持たれてますが…、一体何なのでしょう…?」

「ねぇ?私は鏡だと思っていましたが…にしても鏡を見ているような姿でもないですしねぇ…?」



3人には、私が奇妙なポーズで不思議なモノを持っているように見えているらしい。

まぁ確かにここの世界の人達はこんなもの持たなくても魔法で通信出来ちゃうしね~。



「これはあたしの世界の通信手段!何か分かんないけどWi-Fiはずっと入ってんだよね~。流石に電波は来てないっぽくてぇ~、電話とかは出来ないんだけどさぁー…」



はっ、と気付き顔を上げると3人共首をかしげている。



「あっ、ごめーーん…!とにかくっ! 今は写真撮ってSNSにアップしてたの!」



まぁ、それすら言っても伝わらないので「ほら、これ!」とアップした写真を見せてみる。



「まぁ!」

「美しいですわね…!」

「私達が見ている景色なのに、不思議ですわ…」


「でっしょーー!あたしってセンスいーかんねっ!」


「うーむ…何かビジネスで使えそうですわね…」

「あら、ペリドットがまた悪い顔をしていらっしゃいますわ」

「本当にビジネス一家は恐ろしいですわね…」

「もうっ!皆さんったら…!」



「さぁ、もう見えてきましたわ。」とルビー。

ジョン・シャトルーズと掲げられた看板の文字は、見たこともないのに読めちゃうから不思議。

たぶん私天才なんだと思う。だって勉強してないのに読めるとか、やべーじゃん?



「ようこそ御越しくださいました、ジョン・シャトルーズへ」と紳士なお爺様。

店の前に立つと素敵みが滲み出ている。



「えーーー!なにこれーーー!!」



ショーウィンドウも外から見える店内もアンティーク調でめっちゃくちゃ可愛い!!

店を引きで見ても、街もそうだし、歩いてる人もドレス着てるし全部が全部ちょー異世界って感じ…!!いや異世界なんだけどさっ!



「う"ーーっ…! 映えッ・・・!!」



そこからもう一気にあがっちゃって「ごめん!!ちょっと止まんないから!」と一応お断りを入れて、異世界に没頭…。

映えポイントを逃さず収めていく。



「このオブジェなに…!?ぐうかわ…!!」

「そちらは私が異国で一目見て気に入ったのでお父様に我が儘を言って買ってもらったのです。」

「これが人気のビン達!?くっそ映えじゃん!!」

「飾りとしても使えるよう、私がこだわってデザイン致しましたの。」

「壁紙もかわ~!! ライトもいちいち可愛い!!」

「店内も含め大幅にリニューアル致しまして、それから若い女性にとても人気が出ましたの」

「全部ペリドットが・・・!?」

「えぇ!お父様に口出し致しました!」

「っ…、分かってんじゃん…!」

「あなたもね…!」



グッと熱い握手を交わす2人を見て、ルビーとマリンは少し引き気味…。



「な、なかなか良いコンビですわね…」

「え、えぇ…末恐ろしいですわ…」



「やぁ、盛り上がっているみたいだね。」


「お父様!」

「お邪魔しております」

「ごきげんよう」

「ペリドットのお父さん…!?」



店の奥から出てきたのは高そうな品の良いスーツを着たおじさん。

着こなしがくっそ洒落てるし、そのスーツは凡人には着こなせないやつ~!

この人がペリドットのお父さんらしい。



「わ~、めっちゃイケおじ~!」

「いけおじ…?とは何かな…?」

「お父様、美優は異世界から来ましたので少々言語が不思議なときがありますがお気になさらず。」



ペリドットがお父さんに説明している最中私はというと、ルビーとマリンに「こら、この国でもなかなか偉いお方なのよ!」「言葉にお気をつけ下さいっ…!」と怒られてしまった。



「あぁ!君のことかい?娘から話は聞いているよ」

「初めまして!娘さんのセンス、マジで凄いっすね。尊敬します。」

「おぉ…! そうだろう?まさか私もここまで売上が上がるとは思わなかったよ」

「そうだわ!美優!先程の、お店の映えとやらをお父様に見せてあげて下さいな!」



「はいどうぞ」と出すと、お父さんはそれ自体を観察しようとするが「そんなものより早く見てくださいな!」と娘に急かされ「分かった分かった」と苦笑いする。



「ほぉ、これは…」

「ねっ…!とっても素敵でしょう?」

「うむ、これは、」

「宣伝のチラシにも出来ますし、小冊子にして御配りしても良いですし、新聞に載せても目立ちますわ!これを1枚の絵で売っても宜しいのでは…!?」

「流石私の娘…!何と強かか…!!」

「うふふふっ…!」

「ふ、ふははは…!」



「・・・こほん。旦那様、お嬢様…ビジネストークはここら辺にして…」

「「あ…」」

「店内をご案内差し上げてはどうでしょう?」

「「そうです」」わね」だな」



入り口で出迎えてくれた紳士なお爺様が、悪の企みのようなビジネストークをピシャリと止めてペリドット自ら商品の説明に入った。



様々なアロマを組み合わせた芳香用品はもちろん、生花のみならず、ドライフラワーやブリザードフラワー、などのインテリア用品…。

どれもこれも女心をくすぐるようなアイテムばかりだ。



「そして!こちらが最近私が提案して品数を増やし始めている化粧品ですの!」



それらは私の世界でも売っているような商品だが、何というかもう…デザインね!

ぎゃんかわいすぎるほどの、ぎゃんかわ。



「化粧水、美容オイル、リップオイル…。リップオイルなどは最近ピンクや赤の天然着色料を用いてメイクにも使えるものを発売致しましたが、これがもうバカ売れで…!生産が追い付かないほどの売れ行きで困ってしまう程ですわ…!」

「オレンジとか、もっとカラー出せばいいのにー。あたしチェリーピンクとか欲しい!」

「成る程…、先日のアイシャドウでも思いましたが、美優の世界はそんなにメイクをされるのでしょうか…?」

「うーーん、こっちの女の子とか見てると…そーなのかなー…、あんまり、顔に個性が出てないというか…」

「「「顔に個性…」」」



美人な3人が顔を見合わせているが、いや!違うし!元々あんた達は美人過ぎんの…!!別にメイクしなくたって目立ってっから…!


ちゃんと説明して、ちゃんと話を聞くと、青や緑などの派手なアイメイクなどは、踊子やサーカス芸人などの人達がするそう。

貴族のお嬢様方は、愛らしいピンクなどをメインに、貴婦人などは高貴な赤などをメインに、主にリップだけ色を使いアイメイクは基本黒のアイラインだけ。

お嬢様はたまに頬にも紅を塗る人もいるが、それはお酒に酔ったフリをする為らしい…、その使い方は世界が違ってもやる人は居るんだ…。

平民は基本的にメイクはせず、お出掛けや結婚式などでしかメイクはしないそう。


でもさー、元々のお顔が!?美しいからって!?サボり過ぎじゃねーー!?って感じ!!

つーか逆にもったいなっ…!!



「美優が魔法で出したアイシャドウ…!その他出来上がるメイク用品…!商品として売れるようになったらうちのお店で是非お願い致しますわ! ねっ!お父様っ!」

「あぁ!勿論そのつもりで平民棟の学生に話を持ちかけるさ!」

「商品…!そこまでのクオリティーで出来るかはちょっと自信ないけど、がんばりまーす!」


「そうと決まればっ!」

「話は早いな!」

「うふふふっ…!」

「ふ、ふははは…!」



2人の悪の企みのような笑い声が店内に響き渡り、また紳士なお爺様に注意されるのだった。


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