第8話 従弟の見た夢
母方のじいちゃんとちゃあちゃん(祖母)は旅行が趣味で、よく世界各地を旅して廻っていた。晩年、二人で最後に行ったのはインドだった。
じいちゃんは、いたくインドが気に入った様で、ちゃあちゃんに
「俺ァ、死んだらここにいると思う」
と話していたという。
じいちゃんが亡くなってからの、ある正月の事。僕の家族と従弟の家族がちゃあちゃんの家に集まって新年会をしていた。
従弟のヒロくんが
「そう言えば、じいちゃんの夢を見たよ」
と言う。
「どんな夢?」
「うん、何かね、みんなで何故か飛行機でインドに行くんだけど、向こうの空港に着いたら、じいちゃんが待っててさ。じいちゃんがいるっていうホテルまで案内してくれたんだよ」
それを聞いたちゃあちゃんが、紙とペンを持ってきて、
「その部屋の間取り、どんなだった?」
と訊くと、ヒロくんは間取りを紙に書き始めた。完成したその図を見たちゃあちゃんが、
「ここ、泊まった部屋だ」
という。
ちゃあちゃんはヒロくんたちにインドに行った話はしておらず、ヒロくんはじいちゃんが最後に泊まった部屋の間取りを知る由もない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます