第8話 従弟の見た夢

 母方のじいちゃんとちゃあちゃん(祖母)は旅行が趣味で、よく世界各地を旅して廻っていた。晩年、二人で最後に行ったのはインドだった。

 じいちゃんは、いたくインドが気に入った様で、ちゃあちゃんに

「俺ァ、死んだらここにいると思う」

と話していたという。


 じいちゃんが亡くなってからの、ある正月の事。僕の家族と従弟の家族がちゃあちゃんの家に集まって新年会をしていた。

 従弟のヒロくんが

「そう言えば、じいちゃんの夢を見たよ」

と言う。

「どんな夢?」

「うん、何かね、みんなで何故か飛行機でインドに行くんだけど、向こうの空港に着いたら、じいちゃんが待っててさ。じいちゃんがいるっていうホテルまで案内してくれたんだよ」

 それを聞いたちゃあちゃんが、紙とペンを持ってきて、

「その部屋の間取り、どんなだった?」

と訊くと、ヒロくんは間取りを紙に書き始めた。完成したその図を見たちゃあちゃんが、

「ここ、泊まった部屋だ」

という。


 ちゃあちゃんはヒロくんたちにインドに行った話はしておらず、ヒロくんはじいちゃんが最後に泊まった部屋の間取りを知る由もない。

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