第14話 党員#3 男のいない村 その14

〝やっていただきたい事〟って、何なんだろう?

今、俺が普通にできる事と言ったら・・・


『子作りをお願いしたいのです。』


「ええっ!?」


でも、それはさっきシタような気が・・・


『あなたの繁殖能力は、私の体をもって実証されました。 今度は・・・

村人たちにそれを分け与えてほしい。 どうかお願いいたします。』


その言葉の意味を、理解と言う形でうまく飲み込むことができなかった。

なので・・・


「詳しく教えてくれますか? いろいろな事を。」


『長くなるかもしれませんが、よろしいですか?』


「とことん付き合います。 どうせヒマなので。」


ググゥ・・・と、俺の腹が鳴った。


『あら、いけない! ちょっとお待ちくださいね。』


振舞われたのは、ゆで卵の黄身の部分にそっくりな魚の卵らしき物。

それにパセリを細かく刻んだような香草が散りばめられていた。


やはり、〝運動〟した後は腹が減るもの。

口にしてみると・・・大きさといい、味といい、ゆで卵そのものだった。

しかも、散りばめられた香草が程よい塩味と僅かな辛味を演出。

口当たりの軽さと相まって、スイスイと口に入っていった。

食後に出された、何茶と呼んでいいのか分からない茶をすすり、話を聞く。


・気付いたら、俺の世話をしてくれていた二人の女について・

・俺が今いるこの世界って?・

・村人と言っていたが、その村の風習や慣習、言語、現在の状況等・

・俺が常に気を配り、注意しなければならない事・

・〝乱暴者〟とは?・

・そもそも、テレパシーながら言葉が通じるあなたって何者?・

等々、などなど。


話を聞いているうちに、部屋が暗くなり始めていた。 少し冷え込みも来ている。


『今日はこれくらいにしておきましょう。』


テレパシ-女は3本の長い棒を取り出し、少し交差するように立てかけた。

その交差している部分を紐で縛り、その上に水晶球のような透明の物体を置く。

すると、その中央部分が赤く仄かに輝きだした。


ほど良い〝暗さ〟の灯火。

殺風景な部屋なのに、じんわりと広がる暖かさ。

誘われる眠気に抗うことも無く、俺とテレパシー女は眠りにつく。

女の豊満な胸の乳首が、しきりと俺の腕に触れてくるが・・・

今は眠気の方が勝っていた。

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