第10話 党員#3 男のいない村 その10
『おはようございます。』
目が覚めて、その声を聞けた・・・と言うか、頭の中で確認できた。
つまり・・・ 俺は生きている・・・らしい。
『どうぞ、体を動かしてみてください。』
テレパシー女は自信ありげのようだった。
ならば、動かしたる! ・・・でも、えらい久しぶりだ・・・
まず、右腕と右手を・・・ 動かせた! 指も動く!
左腕と左手、指も同様に動かす事ができた。
で、自分の顔を触ってみると・・・確かにヒゲぼうぼうな感触だ。
さて、せっかく体が動かせるようになったんだし、いいかげん起き上がらないと。
辛いリハビリを経験した事のある俺からすると、起き上がって足を着地させるだけで電気ショックのような激痛が来るのだが、この場合は痛さをこらえて徐々に足の
感覚を取り戻すしかない。 それがリハビリの、文字通り第一歩だった。
何せ、長期間歩けていない足だ。 筋力だって相当に落ち込んでいるはず。
それよりも・・・
上半身を起こしてみて気付いた事。
俺の股間は〝簡易テント〟設置状態になっていたのだった。
もう、何年ぶりなんだろうか? 見事なまでの・・・
〝朝立ち〟。
俺の「突貫亀君」も無事に復活を遂げていた。
まさか、ここまで回復していたとは。
「はっ!」
この状況・・・ 俺のすぐそばに女性がいる!
あわてて股間を手で覆ったが・・・
『隠さないでください! お願いですから!』
「へ??」
『あなたのソレは・・・ 私と村人たちを救う、〝希望の証〟なんです!』
ちょっと、おっしゃってる事の意味が・・・よく・・・
『恥ずかしいなんて思わないでください! むしろ誇らしいですよ!』
いや、こんなモン、初見の女性からすれば、えらく驚かれるか、「キモッ!」
・・・でしょ? なのに・・・
『その雄姿を・・・もっと間近で見せてください!』
雄姿と言われた。 まぁ、確かに男らしいと言えば男らしい。
そんなに気に入ってくれたなら、〝中身〟を見せてあげても良かったが、
今、俺が着ている貫頭衣は、いわゆる「社会の窓」が無い。
下だけ持ち上げるのは、やろうと思えば簡単にできた。
でも、そのビジュアルはワンピースのスカート部分を自分でめくる女の子を
連想してしまうので・・・ 俺的には、やっぱりNGだ。
よって、全部脱ぎ、全裸になった。
そして、久々に自分の足で立ち上がり、テレパシー女の正面に裸体を向けた。
「こんな俺ですが、どうですか?」
『・・・素敵です。』
過去に誰一人として、俺にそんな言葉を言ってくれた人(女性)はいなかった。
超久々に舞い上がってしまった俺は、目の前にいるテレパシー女に重大な・・・
と言うより、一世一代の話を・・・
遮られてしまった。
『お願いがあります。 あなたにしかできない、大変重要な事です。』
「何でしょうか? 俺にできる事があれば、なんでも。」
とりあえず、彼女の言い分を聞こう。
テレパシー女は俺をじっと見ている。
なかなか返事が返ってこないが、俺は待つしかないんだろう。
〝朝立ち〟の方は、依然継続中のようだ。
・・・いよいよ・・・なのか??
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