第9話 党員#3 男のいない村 その9
それから二日ほど、気色の悪いストローで水を飲み(吸い)、テレパシー女の
少し手荒い整体が続けられた。
もう・・・体中の関節という関節から、ポキポキと音が鳴りまくる。
上半身を起こされ、両肩をつかまれ、背骨を軸にグキッ!と捻りを入れられた時、
この女・・・ ずいぶんと、プロポーションが良いのが分かった。
それに、縄のれんのようなドレス(?)の隙間からチラッチラと・・・
ブラの存在を確認できない、豊満な胸の膨らみが。
『気になりますか?』
「えっ?? いや、気にならないと言えばウソになります・・・」
自分で言っておいて、気が付いた。
心をすでに読まれているんだった。
そう、テレパシー女にウソなんか通用するはずが無い。
『良かった。直ってきている証ですね。』
だけど、最初に会った二人の女といい、このテレパシー女といい・・・
なぜ、こうも一生懸命な感じで俺に良くしてくれるんだろう?
そう言えば・・・
「村人・・・の二人は・・・なぜここへ俺を運んだんですか?」
『あの二人は・・・あなたの審判を私に委ねて来たのです。』
「てっきり、あの二人に捨てられた・・・と思ってたんですが?」
『捨てただなんて、とんでもない!』
「俺は、あの二人の気分を害してしまった行動を取ってしまった・・・
そんな気がしてならないです。」
『あなたの、体が思うとおりに動かない事に対する苛立ちから起こした
その行動・・・ それがきっかけになったのは確かです。』
「・・・・・・」
『あの二人の村人は、私に「どうすればよろしいのでしょうか?」と・・・
審判を委ねてきました。』
「審判・・・?」
『あなたの事を・・・・もしかしたら乱暴者なのかもしれないと、恐れていたからです。』
「乱暴者という判断が下された場合・・・どうなるのですか?」
『その時は、動物や鳥に転生させ、人間の時の記憶も消してから野に放ちます。』
「・・・・・」
そうだった。 俺が今いる場所は・・・ 今まで住んでいた世界とは全く異なる。
そして、そんな事を普通にできてしまう人間が存在している事を・・・
俺は事実として受け止めなければならないようだ。
「その話がでた、という事は・・・ 過去に例があったんでしょうか?」
『残念ながら、ありました。 村人を守るためには仕方ありませんでした。』
「・・・・・」
『では、審判の結果をお伝えします。』
俺の心の中でドラムロールが響き渡る。
『合格です。』
やった! ・・・と、喜ぶのはまだ早かった。
肝心の、体の方が未だに動かせてない。
『さあ、最終治療の・・・最終仕上げと行きましょう。』
テレパシー女は、俺の体勢を再びうつ伏せに戻すと、何かを取りにでもいった
のか、俺のそばをいったん離れた。
どうやら、俺の視界から外れた所まで行ったようだ。
「・・・!?」
遠くの方でかなり激しい水飛沫の音が聞こえ、それがしばらく続いた。
『お待たせしました。』
戻ってきたテレパシー女は・・・ずぶ濡れだった。
縄のれんのようなドレスから、ポタポタと水滴が垂れている。
見ると、手つきが・・・あのハンドパワーおじさんのソレとほぼ同じ。
しかも、両手の周りがうっすらと煙か霧をまとっている様に見えた。
「・・・どうしたんですか!? それに、その手!」
『湖に住んでる大鰻君の力を少し拝借しました。』
「オオウナギって・・・ まさか?」
うっすらと煙か霧をまとっている手に、パチッと火花が。
俺の背中に冷たい手の感触があった瞬間だった。
ボン!!!と体の中が爆発したような感覚と同時に・・・
俺の意識は飛んーーー 。
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