第6話 党員#3 男のいない村 その6
女の声・・・? するってえと・・・ もう、お迎えが来たのか。
意外に早いお着きで。
心の準備が・・・と思ったけど、まあ別にいいか。
もうじき俺は天使に両腕を抱えられ、天界へ連れて行かれるんだね・・・
お疲れ様でした、不肖な俺。
『 もしもーし、起きてくださーい! 』
「えっ!?」
いつのまにか寝ていた・・・???
俺の顔を覗き込む美女(?)
びっしりと、木の葉しか見えない天井。
それらが見えるって事は、当然・・・
光が差し込んでいて、しかも見た事のない景色・・・なんだろう、おそらく。
何しろ・・・
美女が俺の顔をガン見しているので、周りの景色がよく分からない。
・・・??
今・・・確か『起きてください』と聞こえたような・・・
なら、試しに質問してみよう、ダメもとで。
「あの・・・ 俺、死んじゃってここにいるんでしょうか?」
『 いいえ、生きてますよ。 』
しっかり日本語だ・・・
しかし、聞こえ方が変なのが気になる。
何て言うか・・・
ニュース特集の女性ナレーター風の、ソフトな語り口。
それが、さも聞いた事あるという前提の、脳内で思い出したように語りかける。
初対面で、ましてや声なんか聞いた事も無いはずなのに・・・
・・・そうか、これが「テレパシー」ってやつか。
と、俺が感心していると・・・
『 失礼とは思いましたが、あなたの記憶を全て読ませていただきました。 』
「えっ!?」
ただ、過去を思い出していただけで、寝ていた自覚は無かったような・・・
ただ、やけにリアルな夢を見ていたような気がした。
『 これから最終治療を施したいと思います。 』
「ええっ!!?」
いや、いくらなんでも急すぎる。 説明の一つでも欲しいところだが。
治療って、いったい何をするつもりなんだ?
どうにも気になって、痛くて回りづらい首を必死こいて動かしてみると・・・
テレパシー女が着ているドレス(?)。
まるで、居酒屋によくある〝縄のれん〟のようだ。
どう見ても、それだけで出来ているようにしか見えない。
女が平たい箱を開けるのが見えた。
だが、中身を確認するとすぐに閉じた。
ちょっと待ってくれ。 気になっちゃうじゃないか。
女の力が強いのか、いきなり俺は体勢をうつ伏せにさせられた。
俺が着ている貫頭衣をめくり、背中をあらわにさせると・・・
背骨近くにある手術の痕をやさしく撫で始めて、こう言った(?)。
『あなたを必ず復活させます。』と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます