第3話 党員#3 男のいない村 その3

こんな美女二人して、重度のケガ人であろう俺にそれこそ付きっ切り介護をして

くれるなんて、何か重大な理由があるに違いない。  で・・・

その重大な理由とやらの思い当たるフシを、さっきから考えているのだが・・・

一向にヒットしない。

本来は、理由を直接訊けばいいのだが、何せ聞いた事のない言語だ。

俺が一方的に喋ったところで、キョトンと首を傾げられるだけだろう。

・・・とにかく、今は体の回復をひたすら待つしかない。

動けるようになったら、ここはどこか?を検索しないと。

・・・そうだ、スマホだ。 どうか、無事でいてくれよ・・・

バッグと、その中身もどうなっているか気になってきた。


「Atama no mawari,Mite minasai, Wazukani moya ga kakatte irudesho?」

「・・・Hontodaah. Demo,Nande?」

「Areha ne,Isshoukenmei nanika wo kangaeteiru akashi nano.」

「Nanimo kangaetenaito,Dohnaruno?」

「Sono joutai ga nagaku tsuzuitara dakedo,Dandan "naoroutosuru-chikara" ga

yowaku natte shimatte ne,Tomattara saigo,kyugeki ni otoroe ga kiteshimauno.」

「・・・・・・」

「Daijoubu, Otoko ha watashitachi to chigatte taishitsu ga kotonaru kamo dakara

・・・Sore ni koushite kangae-chu , desho?」

「So-desuyone,warui houni kanngaeruno,yamemasu !」


俺が目を覚まし、どう言うワケか・・・二人の女に世話になっている。

だがそれは、重度介護老人のような扱い(施しorモテナシ?)と言えるものだった。

女二人にいろいろ触られている感覚は分かるものの、俺自身の脳からの命令は無視し続けたまま。 要するに、動かせないのだ。

・・・もう、どれくらい風呂に入っていないんだろうか?

自分自身で分かるくらい臭ってくると、女二人は水を張った桶と、干草と香草の類をちゃんと用意してくる。   これはもう・・・

デイ・サービスを甘んじて受ける、知りたくもない未来像を体感させられたような

気分だった。

でも、今の身動きできない状態では女二人にされるがまま。 

そんな、クサイ体を拭いてもらう時に見えた、添え木の板に挟まれている俺の腕。

「まさか・・・?」

感電するような嫌な痛みをこらえ、頭をもたげて見ると・・・

最悪の事態も頭によぎったが、ちゃんと両足は存在していたようだ。

だが、両足とも腰の近くまで添え木が当てられ、紐でしっかりと固定されていた。

・・・当然の事ながら、下の世話ってヤツもある。


不思議な事に、俺が尿意を感じると、ベッド(?)ごと運び出してしまう。

そのベッドは、どうやらエスキモーのソリの形そのまま、のようだった。

掘っ立て小屋を出ると、すぐに砂浜のような風景。

ぽつん、ぽつんと草が生えている所を避け、砂地だけの場所に位置を構える。

そして、ペロッと布切れをめくられ、アラワとなった俺の下半身。

付き添いの女にアソコを握られ、方向を定められると・・・

白装束の巨乳女が某ヒーローの変身ポーズのように、シュタッと両手で合図。

で、放水(尿)開始。  “大”の時も似たようなものだった。

後は白っぽい干草で丁寧に拭き、その干草をシタ箇所へ捨てたら砂に埋めて

終了・・・

女二人の表情を見ると、嫌な表情一つ見せるでもなく、仕事だからと言った

義務感でもなさそうで、むしろ・・・

「下の世話って、そんなに楽しいか!?」

と、そんな風に見えて仕方がなかった。 


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