5-6

鬼灯さんのあだ名が決まった


そのおかげで私の胸の中にあったモヤモヤしたものは綺麗さっぱり無くなった



「ライス…安直だけど私にしてはいいあだ名を考えたな」


「へぇ…鬼灯さんのあだ名、ライスになったんだ」



その瞬間、全身をビクつかせてそのままジャンプした。


あまりにも驚く出来事でジャンプしたはいいけど後ろから聞こえたその声はいつも聞いている声じゃないか


しっかりしろ私



「ポッ…ポチ!


いくらあんたでも驚くものは驚くぞ!」


「わりぃわりぃ…


まさか驚きすぎて跳ぶとは思わなかった」



ケラケラと笑いながら私の頭を撫でるポチ…どうみたって悪いと思っていないだろ


そういえば、どうしてポチはこんな所にいるんだろうか?


ちょうどライスの部屋から出たばかりで外の匂いを辿っていた所なのだが



「よく私の場所がわかったね…」


「おいおい…私の鼻を舐めてもらっちゃあ困るな


忘れたのか?私の獣人タイプはフェンリル…狼だぞ


これで鼻が悪かったら笑いもんだ」



そういえばそうだった…ポチというあだ名をつけられるだけあって彼女はイヌ科の義獣人だったな


私も鼻はいい方だけどポチ程ではない


ポチがこの義獣人隊の中で最も優れた嗅覚を持っている


それに比べれば私なんて対して優れていないのかもね



「さてと…リューコ、ライスとはもう話さなくてもいいのか?」



それは突然ポチが私に聞いてきたことだ


話さなくてもいいだなんて…今の所はもう話さないと思う


またね、そう言えば次があるからいいんだ



「今日は…ね


ライスみたいな元医者や化学者の話はとても面白いからまた明日聞きに行こうかなって思ったの」


「へぇ…そういえばさっきライスがメールで新しい発見をしたかもしれないと送ってきたな


それでこの衛生科の研究所に来たわけだ」



なんと…ここは衛生科の活動場所だったのか


ポチの話によると、ここは衛生科…医療や化学について日々研究している場所だ


あの忌々しい研究所から押収した研究結果を検証して今後の義獣人隊の活性化に向けて日々研究と努力をしているらしい



「ところで、ライスはどんな発見をしたんだ?」


「もしかして…私の発言が新しい発見?」



有り得るかもしれない


先程新しい発見をしたとライスからポチにメールをしたと言ってた


つまり先程まで一緒にいた私との会話から新しい発見をしたということになるのか?



「ほぉ…リューコの発言が新しい発見になると


一体お前はどんなことを言ったんだ?」


「まぁ…大したことじゃないけどそれがすごいことなら言うよ


ライスとは義獣人のブーストアイテムについて話してたんだよね


ライスはこう仮説を立てたの


義獣人が今までの人生の中で最も心を満たしたものがブーストアイテムになるんじゃないかって


......ポチ?」



私があの時ライスと話したことをポチに教えているときの彼女の顔は曇っていた


もしかして過去の思い出について考えていたのだろうか?


私なんかが聞いてもいいのかな


いや、まだだめな気がする


まだ聞かない、もう少し時間が経ってポチが話してくれるその日まで私は待つから


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