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ずっと気になってはいた…だけど勇気が出なかったんだ。



「私…皆さんの名前を知らないままだった」



するとお姉さん達はゆっくりと私から離れて整列すると敬礼をした


一糸乱れぬその動きはとても綺麗で息を飲む程


かと思えば一人ずつ前に出て説明をしますといって端から一人ずつ自己紹介をしてくれた。



「私は義獣人隊情報科の隊長をしています


百瀬 玲音(ももせ れいね)、獣人モデルはセイレーンです


よろしくねリューコちゃん」


「同じく情報科の片岡 萌奈(かたおか もえな)、獣人モデルはハーピィで~す


普段は玲音さんの補佐をしています」


「同じく情報科の森 紫雨(もり しぐれ)です


獣人モデルはグリフォン


よろしくお願いします」



うん多いな…だけどこの人達なら覚えられる


綺麗な金色の髪の人がリーダーの玲音さん


海のような青色の髪の人が萌奈さん


太陽のようにキラキラ輝くオレンジ色髪の人が紫雨さん…よく見たらこの人男だ



とりあえずこの三人は覚えた、確か玲音さんが私によく話しかけてくれた人だ。



「がっ…頑張って覚えます


火の練習以外にも色々教えてください!」



よろしくという意味を込めたお辞儀をすると、ぱちぱちと複数人が拍手をする音が聞こえた。



「めちゃくちゃいい子だ…


肉食うか?」


「えっと…食べます」



突然来たかと思えば先程焼いていた串焼き肉を差し出してきた紫雨さん



「ありがとうございます…紫雨さん」


「……一回だけ紫雨お兄さんって呼んでくれない?」


「「止めんかロリコン野郎!!」」



なにかスイッチの入った紫雨さんは肉を受け取った私にお兄さんをつけて欲しいと言ってきた。


私はぐいぐいとこられるのが苦手なんだよな…



「ぐいぐい来なければ呼びますよ…」



そう呟いた瞬間私から三メートル離れて両手広げてカモンとか言ってる


面白いから言わないでおこう


ふふっと笑いながら貰ったお肉にかじりつくと咀嚼して飲み込む



「後で飛び方を教えてくれたら呼ぶ…」



そう言えば皆してバーベキューを楽しんだ後は運動じゃあとか騒いでいる


一致団結する様子はとってもかっこよかった


それだけじゃない



ここにいる人達はきちんと私のことを見てくれるんだ



彼らは情報科…私についての情報は全部知ってるはずだ


だけど、見てくれるからこそ私のことを本当の名前で呼ばずにあだ名で呼んでくれる



内緒だけどね、私はこの人達も大好きなんだよ



日陰にいるおじさんの隣で私は肉を頬張りながら笑っていたのだ


ここにいることがあまりにも幸せすぎて…ね

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