3-3

久しぶりに街に来たな…


人々が賑わうこの街で私とポチは買い物をするらしい



「えっと…リューコはどんなものが欲しい?


さすがに基地で用意した服はダサいだろ」


「いや別に…着れるのならなんでもいい


それにこれといって欲しいものはない」



ポチには悪いけどこれが私の本心だ


私に欲はない


流行りとかもわからないし、なにが自分に合ってるかなんてわからない


それにこの帽子だって…



「ポチ…この帽子つけないとダメ?」


「だーめ!いくらここが都心に近いからってその髪を隠すためには仕方がないの!


義獣人は特別なの…」



そう言うとポチは少し辛そうな顔をした


何をしているんだ私


ポチを悲しませることを言っちゃダメ行動もダメだ。


考えろ私…なにかやりたいこととか欲しいものとかないのか?





_____このお店だよ





私はその言葉を思い出した


そういえば前に私しか部屋にいない時に変なおじさんが来てスイーツをくれたんだった。


お店の名前は確か…



「ポチ…私このお店に行ってみたい」



ぼそぼそと呟くように言うとポチのスマホを借りて記憶の中にあるお店の名前を検索した。


検索結果を見てみると丁度ここから近いところにあるらしい



「ここ…カフェ?


リューコって意外と洒落てるのね…」


「違う、前に私しか部屋にいない時に変なおじさんが来てこのお店について教えてくれたの


スイーツが美味しいからオススメだっておじさんが言ってた」



ポチは変なおじさんについて首を傾げていたけどまあいいかとか隊長らしからぬ発言をしていた。


いやもっと怪しめよ…だからポチって言われるんだろ


ニカッと笑うポチを遠目で見ていると突然私の手を掴んできて早速行くか!と言い出した。


いつもポチはいきなりだよ


まるで犬のようにテンションの上がり下がりが激しい



スマホに表示されてる地図を見ながら歩いていくと見えてきたのは先程見たお店の名前が記されているおしやれな看板



「あれがおじさんが言ってたカフェ…」


「あのさ…もしかしてリューコの言ってるおじさんってまさか……


……!」



なにかを感じとった…それは私も同じ


犬よりも優れたこの鼻があれば遠く離れた匂いも嗅ぎ分けることが出来る



「ポチもわかるでしょ?


この匂い…いるよね?」


「ああ…間違いなくいる」



時々いるのよね


あの研究所から逃げ出して逃げ出して自由になって…


そしてその力を制御できなくなると…






BOMB!!






突然の建物の爆発により泣き叫ぶ人々


混乱によりそこはカオス状態だった


まさか何の変哲もないただの雑居ビルが爆発するなんて…と思ってしまうんだよね


だけど私とポチならわかる


あの雑居ビルに義獣人がいる


一人…いや複数人いる



「あーあ…やっぱり暴走してる


あれも全部保護して司令官に報告しないとだな…」


「ポチ…これだと死人が出るよ」



そう言うとポチの表情はすぐに仕事人の顔になった。


肩を回して首と指をポキポキと鳴らすと屈伸をして私に鞄を預ける


まさかそんな軽装備で行くつもりなのだろうか?


鞄の中身はスマホと財布とタオル、あとは対義獣人用のスタンガンと麻酔銃って…


これ銃刀法違反とかで捕まりそうだな



「じゃあ私は行ってくるよ


リューコはスマホからジェリーかニコに連絡して


そしたらすぐに増援が来るはずだから…!」



それだけを言うとポチはスタンガンと麻酔銃を腰に装備して走って行った


どうしてそんなに素早く動けるのか…謎だ



「…そうだニコとジェリーに連絡!」



我に返った私はすぐにスマホを操作して連絡をしたのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る