2-2
全くここの司令官は人を呼び出すのがお好きなようで…
「まさかジェリーも呼び出されるなんてね…
いよいよやばい仕事が来そうで怖いわ」
「ははは…まさかそんなことはないと思いますよ」
人の気配がしない廊下を歩き、その途中でも他愛のない会話を繰り広げていた。
例えば私は先程までリューコの体力テストの監督をしていたとか
ジェリーが貸してくれた漫画が面白かったとか
そんな話をしていたらいつの間にか目的地に到着していた。
いつもよりも圧がすごい気がするのは何故だろうか…
隣にいるジェリーなんてカタカタ震えてるでは無いか
さてどうしようか…
いや、ここはもう普通にノックして入る以外に無さそうだ。
3回ノックして名乗ると部屋の中から入れと言われてその時やっとドアノブに触れる。
「失礼します!」
2人で声を合わせてそう言うと中に入ってドアを閉めた。
「今日君達をここに呼んだのは他でもない…
先日保護した義獣人についての報告をしてもらいたいのだ」
呼び出した本人はカタカタとパソコンを操作していた手を止めると椅子から立ち上がり近くのソファに座るように言ってきた。
「報告する時はやはり資料だけを渡されてもわからない部分があるからね…
ここはお茶でも飲みながら報告してもらった方が良い」
そうだった…うちの司令官はそういう人だった
この義獣人隊の最高責任者でもある司令官もまた義獣人である
名前を「秋元 源一(あきもと げんいち)」
獣人タイプは不明で、隊長である私ですら教えてもらったことがない。
だけど彼の好物ならわかる
お気に入りの紅茶の茶葉を自分で淹れてお気に入りのスイーツ店のケーキを1人ではなく誰かと一緒に楽しむことだ。
彼は誰よりも孤独を嫌う者で、皆から慕われるとても大きな存在だ。
「では報告をお願いするよ」
「はい、今回保護した義獣人の五十嵐灯はあの研究所から逃げ出して1年間ホームレスとして様々な街を転々として生活していたようです。
能力はかつて研究所から押収した資料に書いてあるとおり、ドラゴンのように強大なパワーを持っていることがわかりました…。
しかし彼女はまだ子供です
この先も能力を伸ばせば義獣人隊の大きな利益となるでしょう。」
とりあえずは表向きにはそう言った
これで司令官が納得するかどうかはわからないけど…
「本当に君はそう思ってるのかい?」
やっぱりだ
この人はそうやって人の心の中を覗いて理解するのが上手い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます