第3話 中2友人関係
中学1年の3学期ごろは特別仲のいい人はいませんでしたけど、中高大と同じ学校になる人もこの中にいたり、後に出てくる友達、赤髪も同じクラスにいました。実を言うとなんにもなかったんですよこの期間は。
ある日、そろそろ部活に行ってもいいかなと思って参加しました。まあ、壁打ちと走り込みくらいしかさせてもらえないんですけど、久しぶりに学校の外周走っても他の部員に負けませんでした。幽霊部員が1位でゴールしてくると顧問の先生や先輩たちもビックリしてましたね。これでいい気になって私も部活に参加するようになりました。先輩たちにも自分に優しくしてくれる人がいて、大変感謝しています。もうこの思いは届かないですけどね。
ところがいいところでガラッと変わってしまったのです。学年が上がると部活のゆるーい顧問が代わってしまい、全国レベルの先生が来たのです。それが、リッチ先生です。もっと実践的な練習をするようになって私の楽しみである走り込みの優先順位が格下げ。目標も見いだせなくなり、私はまた学校にさえ行けなくなってしまったのです。
一週間に登校できる日が1日、また1日と減っていきました。担任は偶然にもリッチ先生でした。リッチ先生はテニス部の熱心な顧問であり、数学の先生であり、海外の出張経験も豊富な頼れる学年主任でした。最初はプライド高くてやりにくそうな人だと思ったのですが、意外と気さくで優しい先生でした。集合写真に私が写っていないのを大変に気にしていたというエピソードもあります。
このクラスには赤髪、マジメ、おりひろの3人の個性豊かなイツメンがいました。赤髪は元テニス部、家庭環境が複雑で色々抱え込んでいたようです。マジメはバスケ部。真面目な性格でとにかく一生懸命でした。隣の席になったのを素直に喜んでくれる数少ない友達です。口下手な奴ですが俺は好きです。オリヒロはハンド部の実力派。の癖に変態で楽しいやつでした。高校生のときに駅で一回会いました。偶然だったんですけど、変わらず。小柄でかわいい彼女がいて、
「俺、今日がチャンスかもしれん」
とか言っていたのを覚えています。中学で一番楽しい男友達でした。
その頃のことを考えると、私は学校に行けなかったことを悔やんでいます。もっと一緒に居たかった。これは本音です。何故、俺は学校に行けないのか。その思考にハマるとなかなか抜け出せなくなりました。単に怠けていたのかもしれません。必死に言い訳を考えていたのかもしれません。
この頃から別室登校をしていました。昼間頃に行って下校時刻の前に帰る日が続きます。不登校の救済制度で遅刻は数えられていませんでした。昼休みを挟むと教室の誰かが私の為に給食を持ってきてくれました。その点とても有り難いものです。一言二言話しかけてくれて。彼らには頭があがりません。
さて、別室には他にも女の子が何人かいたのですが、お互いに極度の人見知りでしたので話すようになるのはずっと後になります。その話は多分あとでします。
別室にはテニス部の男の子がいました。彼もまた学校に行けず引き篭もっていた様子でした。鈴木(仮)です。小柄で可愛い外見とは対象的にかなり多面的で深い思考ができるやつでした。絶対に相容れないと思っていたのですが、似たような状況でいたことを知って非常に驚きました。
ある日の昼休み、たまたま2人になったのです。
「ねぇ、ゆう君、なんで教室に行かないの?」
こう、ずばり聴かれて私はちょっとうろたえました。私は顔を顰めて「判らないな。」と。そう答えるほかありませんでした。彼がなんの期待をしていたのか判りませんが、しばらく考えこんでいました。「鈴木はなんで?」と聞き返すと、笑って「俺も判らない」とだけ帰ってきました。彼の頭の良さから勝手に何か深い意味があるのかと必死に考えていました。今考えれば単に、私と同じカベに当たっていたのを察しただけだったのかもしれません。そして自分の悩みを解決する方法を求めていたのかもしれません。
「何故俺が学校に行けないのか、それとも行かないのか。」
私の答えは未だに判らないままです。今では鈴木君の消息は不明です。しかし、サイエンスについて好奇心旺盛だったので私と気が合いました。素敵なインテリジェンスの持ち主なので、もう私なんかが手の届かない世界に居るのかもしれません。
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