第94話 case94
ゲートの中は、暗く淀んだ空が広がり、今にも降り出しそうな風を起こしている。
6人が少し歩いていると、スコールのような雨が地面に打ち付け、6人は慌てて岩場の陰に避難したが、避難場所が狭すぎてしまい、亮介とくるみは雨に打たれていた。
雷が鳴り響く中、5人が空を見上げていた次の瞬間、大きな落雷音が鳴り響き、ほのかは「キャー!!」と悲鳴を上げながら、亮介に抱き着いた。
「あ、す、すいません…」
ほのかは少し潤んだ目で、顔を赤らめながら亮介を見上げ、亮介も少し赤い顔をしながら「あ、ああ…」と答えていたが、ほのかは亮介から離れようとしなかった。
くるみはイラっとしながら二人を見ていると、亮介の背後に大きな黒い影を見つけ、その場を後にしていた。
くるみが去った後、ノリは亮介の胸倉をつかみ「さっさと離れんかクソボケ」と、嫌悪感をむき出しにした目で言い放つ。
「え? 俺?」
「姫を泣かせたら殺す」
「ちょ、ちょっと待ってて! なんで俺?」
ノリは苛立ったように「あ?」と言い、胸倉をつかんでいた手を突き放すと、くるみが亮介の頭の上に降り立った。
「セイジ君、頭がコカトリスで、体がライオンの魔獣ってなんていうの?」
「グリフィンだ。 いたのか?」
「あっちに居た。 かなりデカいの」
くるみは亮介の頭に乗ったまま、セイジと会話をし続けていると、しびれを切らせた亮介が「いい加減、降りてくんない?」と切り出した。
くるみは亮介を見下ろしながら「あれ? 居たの? 気が付かなかった」と突き放すように言い、セイジの前に降り立った。
『キレてる? 俺なんもしてなくね?』
亮介がそう思っていると、セイジは少し考えた後「姫、俺を連れて飛べるか?」と聞いてきた。
「よーゆー」
「お前らはここで待機しておいてくれ。 姫と2人で十分だ」
「「イエッサー」」
くるみはノリに「お尻痛くなるから」と言いながら、大量の魔獣の皮を手渡した後、セイジに抱き着き、勢いよくその場を飛んで行ってしまう。
ノリと太一は岩場の奥に魔獣の皮を敷いてそこに座り、亮介はくるみの飛んで行った方を眺めていた。
くるみとセイジは木の上に立ち、魔獣の様子を窺っていた。
「あいつは炎が弱点だ。 飛び立たれると何もできなくなるから、羽を焼き尽くしたいところだが、この雨じゃ簡単には燃やせないだろうな」
「ドーン行く?」
「そうだな。 2人で火球を作れば、何とかなるだろう。 その後、炎を当て続けるから、姫は遠距離から羽を狙ってくれ」
「ういさ」
くるみは返事をすると、セイジに抱き着いて木の下へ降り立ち、地上でセイジにエンチャントをかけ、マナポーションを飲み干す。
しゃがみ込んでアックスを肩に担ぐと、セイジはそれを握り締め、魔力を込める。
グリフィンは何かを探すようにその場をうろうろし、背中を向けた瞬間、くるみとセイジの掴んでいるアックスから、火球が勢いよく放たれた。
グリフィンは爆音と爆風の中で悲鳴を上げ、炎に包まれていた。
2人は合図もしないままに、二手に分かれ、両サイドから羽を狙って、火が消えないように炎を打ち続けていた。
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