第93話 case93

翌日、くるみと亮介がギルドルームに入ると、ギルドルームのテーブルには溢れんばかりの素材が置かれていた。


「ど、どうしたの?これ」


くるみが驚いて声をかけると、セイジが切り出した。


「昨日、シュウヤが追放されて、ギルドは解散。 持ち主の分かるものは返還されて、持ち主不明の物は各ギルドに配られたんだよ。 姫のアックスもあるはずだ。 と言うかお前、魔獣の皮買いすぎだろ… どうすんだよこれ」


「え? あらら… それも戻ってきちゃった系?」


「お前が買ったものだからな! 何とかしろよ」


くるみは渋々魔獣の皮を並べ、ゴロのベットを作ってみた。


が、ゴロは見向きもせず、ソファで丸くなっていた。


「ダンジョンに捨ててくれば? どうせ売れないし、持ってても仕方ないでしょ?」


くるみはノリの提案に賛同し、魔獣の皮をインベトリに入れた後、テーブルの上に置いてある、素材の山から装備を探していると、亮介に貰ったヘアピンを見つけ、さっそく装備し、亮介はニヤついて崩れそうな顔を、必死に我慢していた。


遅れてきた太一は、ギルドルームに入るなり「姫ちゃん! 装備出来てるよ!」と声をかける。


そこには凍結の両刃アックスと、凍結の鎧が入っていたが、くるみは鎧を見て顔をひきつらせた。


今までの氷の鎧は、ワンピースタイプのミニドレスだったが、凍結の鎧はストラップのないベアトップタイプの紺色をした鎧。


能力ははるかに凍結のほうが良いが、くるみは『…これを着るのか?』と、不安に思っていた。


くるみが装備を見ながら固まっていると、亮介が「早く装備してみなよ」と急かし始める。


「これ、亮ちゃんが作った?」


「よくわかったな? それ着たら女子力上がるんじゃね?」


くるみは何とも言えない気持ちのまま、凍結の鎧をインベトリにしまった後、幻獣装備を身を纏い、ダンジョンに向かう事にしていた。



セイジがダンジョンを探す中、ノリとくるみが話していると、くるみは女性に話しかけられた。


「あの… 昨日はありがとうございます」


「あ、昨日の… ギルド解散になっちゃったんだって?」


「はい。 でも、辞めれないでいたので、ちょうど良かったかなって思ってるんです。 それでお願いなのですが、ギルドに入れてもらえませんか?」


突然の提案に、くるみがセイジを見ると、セイジはため息をついた。


「今日は朝からなんなんだよ… ジョブは?」


「ヒーラーです」


「ヒーラー? …テストするからついてこい」


「あ、ありがとうございます!!」


ほのかは嬉しそうに笑い、先にゲートの中に入ったみんなを追いかけていた。


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