第65話 case65

集会所についてすぐ、くるみは教師の横を通り過ぎ、ギルドルームに向かおうとしていた。


「姫野、どこ行くんだ?」


「忘れ物取ってくる。 5分待って」


くるみはそう言うと、さっさとギルドルームへ行き、防御力が高く、すぐに作れそうなヒーラー装備を作り始めた。


『ぼくちゃん、死なないと良いけど…』


そう思いながら出来上がった防具を手に、真っすぐに葵の元へ行き、防具を差し出す。


葵はいきなり差し出された防具を見て「え?え?」と困惑するばかりだった。


「やる」


くるみはそれだけ言うと、強引に防具を葵に押し付け、りつ子の前へ行き、椅子に座る。


りつ子は「なんか疲れてない?」と言いながら、くるみに飲み物を差し出した。


くるみは「学校、嫌い」とだけ言い、魔法石をりつ子に払う。


りつ子は魔法石を受け取りながら「確かに。 クラスメイトは見習いだらけで退屈だろうし、周りに合わせなきゃいけないし、大変よねぇ」とため息交じりに呟いていた。


くるみが飲み物を飲んでいると、またしても悠馬が声をかけてくる。


『鬱陶しい…』


くるみはそう思いながら飲み物を一気に飲み干した後、黙ったまま教師の元へ。


「ペア組んでないのか?」


「ソロは無理なんでしょ? だったら誰でもいい。 どうせ一人で戦うから」


くるみはそう言うと、徐々に装備を変え、教師はくるみの黒いアックスを見て「そうなるだろうな」とだけ言っていた。


ゲートが開くと同時に、くるみはゲートの中へ。


悠馬がその後を追いかけようとすると、突然腕を引っ張られ、亮介がゲートの中に飛び込む。


「ちょ!!」


悠馬が叫ぶと同時にゲートは閉じてしまい、周囲に居た人だからは文句ばかりを言っていた。




くるみはゲートに入ると同時に、洞窟の中を風の魔法でどんどん奥へ。


すると、視線の先に魔獣の群れを見つけたが、魔獣たちはくるみの方に背を向け、何かをしているようだった。


『何してんだ? あれ』


そう思いながら魔獣の群れに近づくと、数匹の魔獣が振り返り、くるみを威嚇する。


くるみは氷の粒を指先で放ち、威嚇してきた魔獣を弾け飛ばすと、魔獣たちの中心には、血を流して倒れている、白いヒョウ柄の魔獣の姿を見つけていた。


『共食い? え? 魔獣って共食いするの?』


そう思いながら、周囲に居た魔獣たちを、次々に氷の粒で退治した後、白い魔獣の姿を確認する。


その魔獣は血だまりの中で、前足の一部と、胸から下を食われてしまい、完全に無くなっている状態だった。


『魔法石も食われて無くなってる…』


くるみはそう思いながら近づくと、その魔獣は牙をむいて威嚇してくるばかり。


前足と頭だけになっている魔獣を見て、くるみは「よく生きてるねぇ」と声をかけた。


くるみが1歩近づくと、魔獣は牙をむきながら暴れまくる。


くるみは「わーった。わーった」と言った後、魔獣に向かって優しく回復魔法を放った。


すると、徐々に食われた部分が回復し、腹部、背中、後ろ足、尻尾の順でうごめきながら元に戻って行く。


魔獣はゆっくりと立ち上がり、少し離れた場所からくるみの方をじっと見ていた。

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