第27話 case27

結局くるみは装備を作ることが出来ず、落ち込んだまま翌日を迎えていた。


この日も練習用ダンジョンで実戦練習があり、くるみは一人孤立。


集合場所の広場でボーっとしながら考えていた。


『りつ子さんぼりすぎ。 425万って事は、完成させるのに500万は必要じゃん… ダンジョン何回行けばいいのよ…』


すると、亮介たちが近づき、刀を装備していた子がくるみに話しかけた。


「くーちゃん!同じチームになろう!」


「…誰?」


「昨日同じチームだったじゃん!」


「…名前は?」


「佐藤隆文。 あっちのマジシャンが久保田和夫。 よろしくね!」


「・・・・・」


くるみはため息をつき、足元を見ながらボーっとするだけ。


昨日と同じメンバーでチームを組み、ダンジョンに入った後も、ボーっとしていると、スライムを倒した孝文が、小さな魔法石を手渡してくる。


「もしよかったらもらって!!」


『こんなちっさい魔法石じゃ何の足しにもならないもんなぁ…』


くるみは魔法石を眺めながらため息をつき、ボーっと戦っている亮介を眺めていた。


『なんであげちゃったんだろうなぁ… 一人で戦ったんだから、独り占めしてもよかったんじゃないの? 大体、ギルド入ってないし、集会所にも行ってないんだから、宝の持ち腐れじゃない? …パクるか』


すると亮介がくるみの視線に気が付き、最前線から離れた。


「さっきから見てるけど何?」


「え? あ、いや… き、昨日の素材って、持ってたりしちゃったりする?」


「あ、ああ。 これ?」


亮介はそういうと、インベトリから炎像の煉瓦を出す。


「パク…」


「パク? は? 何? パクろうとしてんの?」


「いや、あの… ははは…」


くるみが笑いながら誤魔化すと、亮介は「ふーん」と言いながらニヤッと笑う。


亮介は黙ったまま、煉瓦を右手から左手に持ち替えると、くるみも同じように顔を動かす。


亮介は、煉瓦を上下左右に機敏に動かすと、くるみの顔も上下左右に機敏に動く。


「そんなに欲しいんだ。 あ、今日の放課後、付き合ってくれたらあげてもいいけど、もったいないし、どうしよっかなぁ~」


亮介はそう言いながら、炎像の煉瓦を見せびらかしていた。


くるみは煉瓦しか見ておらず、亮介の言葉が入ってこない。


「聞いてねぇだろ?」と言い、亮介は煉瓦をインベトリにしまうと、くるみはしょぼくれた表情をし、いじけたようにその場に座ってしまった。


亮介はくるみと視線を合わせ「放課後、付き合ってくれたらあげるかもよ?」と再度言うと、くるみは「行く。付き合う」と即答。


亮介はにっこりと笑い「かもだからな!あげるとは決めてねーぞ!」と言い最前線に。


くるみは「え? くれるんじゃないの? 話違うんじゃない?」と亮介に投げかけたが、亮介は戦闘中でくるみの言葉が届かなかった。


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