第22話 case22
くるみは帰る間際、ブレスレットをロッカーに入れた後、ギルドルームでシャワーを浴びていた。
制服に着替え、シャワールームから出た後、装備作成機に炎属性の装備をセットしようと、ロッカーを開けた。
が、ロッカーの中には、黒いブレスレットが二つ並んでいる。
「ノリちゃん、これどっちが学校用だっけ?」
「知るか!! つーかさ、練習用のステッキ、ギルド用のブレスに入れておけばいいんじゃない?」
「いっぱいで入んないよ?」
「拡張しなさいよ」
「どうやるの?」
「あ、そっか」
ノリはそう言いながら、アイテム作成機にブレスレットと素材を入れた。
すると、見た目は全く変わってないのに、インベトリを開くと、収納数が30も上がっていた。
「これなら平気だ! うほ! マナポーションもいっぱい入るじゃん!! ノリちゃんありがと!!」
くるみはあどけない笑顔でノリに言うと、ノリはくるみの頭を撫でていた。
練習用の装備をブレスレットに収納した後、くるみは急いで帰宅し、翌日を迎えていた。
学校に着き、1限目の授業が終わりかけた時に、教師が「2限目から実戦練習するから、チーム作っておけよ。初歩中の初歩だから、一人でできるやつは一人でもいいぞ。ただ、6人以上になると効率悪くなるからな~。休み時間中に、1階の練習用ダンジョン前の広間に移動しとけ」と言ってきた。
1限目が終わると同時に、くるみの近くにミナが近づき「くるみ、同じチームにしよ」と言ってきた。
が、アイカが「くるみってヒーラーでしょ?いらなくない?」と言い、ミナとアイカは違う子たちとチームを組んだ。
『なにこの敗北感。なんか寂しいんですけど…』
くるみはそう思いながらブレスレットを装着し、1階へ向かう。
すると廊下で、気弱そうな男の子が、3人の男の子に絡まれていた。
「なぁなぁ、お前ヒーラーなんだろ? 男なのにヒーラーってだっせ」
「しかもこいつ、全然回復しないんだろ? まじ才能無いんじゃね?」
「ただでさえいらない子なのに、回復しないヒーラーって価値無いじゃん!」
ゲラゲラ笑う男の子たちの横を、素通りしながらチラッと見ると、気の弱そうな男の子は、練習用のステッキを握り締めていた。
『装備が悪いんだっつーの。 ぼくちゃん、なんか言い返せよ』
くるみはそう思いながら、男の子たちを通り過ぎた後、話を聞くように壁にもたれかかっていた。
そのまま話を聞いていると、寄ってたかってヒーラーをバカにしている男の子たちに、だんだんイライラしてきてしまう。
すると、男の子の一人が、練習用の剣で自ら手を傷つけ、「治してみろよ」と、へらへら笑いながら言い、気の弱そうな男の子は、震える手で回復しようとしていた。
くるみはタイミングを合わせて、回復魔法を指ではじく。
すると、傷は一瞬のうちに元に戻り、からかっていた男の子たちは少し黙り込んだ後、「や… やればできるじゃん…」と声のトーンを小さくしていた。
『あーくだらね』
くるみはそう思いながら、集合場所に向かっていた。
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