第20話 case20

マンモスのような魔獣を倒した後、空から雨のように、素材と魔法石が降り注ぐ。


が、氷の海原は完全に割れてしまい、大きな池と化していたため、拾いに行くのは不可能な状態。


「もったいない…」


太一が小さく呟くと、魔法石と素材は、水面直前で吸い込まれるように足元へ。


ふと見ると、くるみは風の魔法を使い、掃除機のように魔法石と素材を集めていた。


「なんて便利な奴…」


ノリが小さく呟くと、全ての素材を回収したくるみが「ギルドルーム行って山分けしよ」とにっこり笑いかける。


ノリは大声で豪快に笑った後「あんた本当に最高だわ」と言い、くるみの頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。


すると、金色の蝶がヒラヒラと舞い踊り、近くにあった木に止まる。


「帰るか」


セイジの合図を聞き、4人は金色のゲートの中へ消えて行った。



ギルドルームに戻った後、くるみは足りない素材をみんなから譲ってもらい、青と白の氷属性がついたミニドレスの鎧と、氷属性のついた両刃のバトルアックスをセットした。


装備が完成するのが、翌日の早朝4時。


『学校行く前に取りに行ったらダメかな? あー起きれないから無理だな』


そう思いながら電車に揺られ、帰宅していた。



翌朝、くるみはあくびが止まらないまま学校に行き、上履きに履き替えていると、「おはよ」と背後から挨拶をされた。


眠い目のままくるみが振り返ると、亮介が「眠そうだな」と声をかけてきた。


くるみは一気に眠気が吹き飛び、俯きながら「う、うん…」と答える。


「今日も行く?」


「あ…き、今日は用事があって…」


「そっか。 じゃ」


亮介はそういうと、教室の方へ歩き始めてしまった。


『やだやだ!朝から王子に話しかけられた!!マジで?夢じゃないよね?やべぇ!テンション上がってきた!!!』


くるみは浮足立ちながら、教室へ向かっていた。



そして授業中。


教壇に立った教師が「みんな、ブレスレット出せ」と声をかけた。


『ブレスレット? あれ? 学校用のやつ、どこやったっけ? あ! ギルドルームのロッカーの中だ!!』


教師が着々とブレスレットについて説明をしている中、くるみは人知れず焦っていた。


こっそりインベトリを開いてみると【魔獣の皮】【魔獣の牙】【魔獣の宝珠(小)】と言った、みんなが絶対に持っていないであろう物ばかり。


それどころか、装備欄には、昨日ノリから貰った【アースアックス(両刃)】とまで書かれている始末。


ヒーラー志望なのにも関わらず、ウォーリアの装備を、しかも、練習用ではない、実戦用のものばかりが並んでいた。


『ばれたら反省文… うわっめんどくさ!!』


くるみはそう思いながらブレスレットを外し、ポケットに入れていた。


教師はくるみを見るなり、「姫野?どうした?忘れたのか?」と聞き、くるみは小声で「すいません…」と答える。


「仕方ないな。あとで反省文書いとけよ」と言われ、くるみはがっかりと肩を落としていた。


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