第15話 case15
くるみはシスターに案内され、ヒーラー師匠の元に。
ヒーラー師匠は、シスターから話を聞くなり、眉間にしわを寄せた。
するとシスターに向かい「地下へ案内しなさい。 それと全賢者に連絡を」と言い、その場を去ってしまった。
くるみはシスターに案内され、奥に向かう。
期待と不安が入り混じる中、シスターの後を追い、石造りの階段を下りていた。
「さぁ来い!!」
プロレスラー体系をしたウォーリア賢者が、木刀を構えながら言うと、亮介は木刀を握り締め「うおぉぉぉぉ!」と声を上げながら走り出す。
すると、突然ドアが開き、ウォーリア賢者が横を向いた。
「隙あり!!!!」
亮介が飛びかかろうとすると、ウォーリア賢者の持っていた木刀の端が、亮介のみぞおちにめり込む。
亮介は「がはっ」と言った後、その場で蹲り、激しく嘔吐していた。
ウォーリア賢者は亮介に気を止めず、ドアを開けたシスターの元へ。
シスターと少し話した後、亮介に向かい「ちょっと待っててくれ」と言い、部屋を後にした。
『ふざけんなあのクソジジイ… 横向いて隙だらけだったじゃねぇかよ… なんで一発も当てらんねぇんだよ…』
亮介は咳き込みながらその場に倒れ、大の字になっていた。
その頃くるみは、薄暗い地下室の中で、賢者たちを待っていた。
地下室に居るはずなのに、天井が見えないくらいに高く、薄暗い部屋の中央には、魔法陣が書かれていて、数本のろうそくが明かりを灯しているだけ。
ゆっくりとゆらゆら揺れる明かりの中で、くるみは不安に駆られていた。
『やっぱりやめようかな… 怖いもんなぁ… 何が起きるかわかんないし…』
そんな風に思っていると、木製の大きなドアが開き、白いローブを身にまとった7人の賢者たちが姿を現した。
『あれ?7人? ナイト賢者とタンクナイト賢者もいる… ナイトって関係ないよね?』
くるみが不思議に思っていると、5人の賢者が魔法陣を囲んで立ち、二人の賢者は魔法陣を挟むように、横に立っていた。
「中央へ」とヒーラー師匠に言われ、くるみは魔法陣の中央に立つ。
すると7人の賢者は、ゆっくりと両手を広げ、呪文を唱え始めると、魔法陣が光り始める。
くるみはゆっくりと目を瞑ると、自然と体の力が抜けて行った。
魔法陣の中心にいるくるみの体は、ゆっくりと浮かび上がり、徐々に白く、光を帯びていく。
くるみは宙に浮いている感覚と、ピシピシと、何かが頭の中で割れているような感じに襲われていた。
けど、恐怖心はなく、心地いい夢を見ているような感じ。
くるみの体は宙に浮いたまま、はっきりとした光に変わり、呪文が終わると同時に魔法陣が大爆発を起こし、周囲に居た賢者たちは吹き飛ばされた。
砂埃が煙る中、ウィザード賢者がヒーラー賢者の元へ。
咳き込むヒーラー賢者に向かい「大丈夫ですか?」と声をかけると、ヒーラー賢者は砂埃が煙る魔法陣の中心を見て、目を見開いた。
そこにはいるはずのくるみの姿がなく、ヒーラー賢者は「失敗か…?」と小さく呟いた。
砂埃が落ち着き、視界が晴れると同時に、全ての賢者が息をのんだ。
魔法陣は消え去り、中心にはくるみの靴が片方だけ落ちている。
「嘘…」
ウィザード賢者がつぶやくと、突然何かが爆音と共に落下。
賢者たちが、立ち上った砂埃に咽ていると、砂埃の奥から人の姿がうっすらと見えた。
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