第2話 case2

休み時間になると同時に、くるみの周囲には女の子が集まっていた。


「くるみ、またボーっとしてたでしょ?」と言いながら、金色の髪をし、大きなひまわりの飾りがついたゴムで、前髪を上げている女の子は、くるみの前に座った。


「アイカのそのひまわり、超かわいいんだけど」と言いながら、アイカの横に立つショートヘアの女の子。


「ミナも付けたらいいじゃん」


「どこで売ってた?」


「駅前のいつもの店だよ…」


くるみは話題についていけず、苦笑いを浮かべるだけだった。


「ねぇ、そう言えばさっきの授業、どんなジョブが良いかな?」とミナが言うと、アイカがこれに反応した。


「私マジシャンが良いなぁ。なんかね、マジシャンって、鞭も装備できるらしいよ? 女王様的な感じ?」


「マジで?アイカ超似合いそう!!くるみは何がいい?」


「…戦闘とか怖いから、ヒーラーが良いなぁ」


くるみの言葉を聞き、二人は声を上げて笑い始めた。


「ヒーラーとか超地味じゃん!!ハッキリ言っていらない子じゃない?やられる前にやっちゃえばいいんでしょ?マジウケる!!」


アイカは大きな口で大笑いをしながら言い、ミナも一緒になって笑っている。


くるみは「あはは…」と空笑いをするだけだった。


チャイムが鳴ると同時に、生徒たちは廊下で1列に並び、教師を先頭にして地下室へ向かう。


『いらない子… だって戦闘とか怖いじゃん…』


くるみはそう思いながら順番を待っていた。


順番に一人一人、測定室の中に入っては外に出て、一喜一憂している。


「俺赤だった!」とか「以外に青だった!」とか、時には「色が出なかったんだけど…」と言った言葉が、くるみの耳に聞こえてきた。


アイカは測定室から出ると、ミナに向かって駆け出し「ピンクだった!ピンクってなんだろね?」と聞いていた。


「くるみ、ピンクってなんだろ?」とアイカが聞くと、くるみは「なんだろ?授業で言ってなかったよね?」と困った様子で答える。


すると、ミナも測定室から出てきて「私もピンクだった。あれかな?物理戦闘系?赤っぽくない?」と、ひらめいたように声を上げ、二人は興奮し始めた。


くるみは二人を眺めながら微笑んでいると、教師に「次、姫野」と呼ばれ測定室の中へ。


薄暗い測定室の中には、バスケットボールほどの大きさをした、透明な水晶のような石が置いてあり、水晶を囲むように4人の教師が、クリップボードを持って立っていた。


「姫野、そこに手を置いて大きく深呼吸してみろ」


一人の教師にそう言われ、くるみは石に手を置いた後、大きく深呼吸をした。


すると、透明だった水晶の奥から、うっすらと色が浮かびあがる。


水晶から浮かび上がった色は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と、徐々に色を変えていき、虹色に揺らめいていた。


教師は目を見開き「…虹色?」と言うと、水晶は『バリーン』と言う音と共に、勢いよく破裂し、粉々に砕かれてしまった。


教師は呆然とした後、「こ、壊れてたのかもな… ちょっと外で待っててくれ」と言い、くるみを外に追いやった。


しばらく待っていると、くるみは再度教師に呼ばれ、先ほどと同じように水晶に手を当てたが、水晶はまたもや粉々に弾け飛んだ。

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