プリンセス・ロード
のの
第1章
第1話 case1
暖かい日差しが差し込む中、教壇に立つ一人の男性は、教科書を読み上げていた。
「…原油と天然ガスが枯渇した後、人々は電気やガスと言った、あらゆる生活エネルギー源を失い、世界人口は四分の一にまでも減り、暗黒時代へと突入した。
そんな中、一人の学者が、枯渇した原油跡の中から、新たなエネルギー源を発見した。
何故、新たなエネルギー源が突如現れたのかは、現在も不明だが、人々はこれを『魔力』と呼び、これを応用したことで電気、ガスの供給が復活した。
魔力は空気中に混在しているため、普段の生活の中に溶け込んでいるが、エネルギー源として使うには、大きなエネルギーの原石が必要となる。
この学校にいる生徒は適応した人間ばかりだから心配はないが、この魔力は適応する人を選ぶ。
魔力に適応できなかった人々は、命を落とし、時折、暴走した魔力の力で、死後に復活することがある。
それに加え、暴走した魔力は、動物たちの姿を変え、突然変異を起こし、人々を襲うようになった。
突然変異を起こした動物たちの事を、魔獣と呼ぶ。
何故、魔力が暴走するかは、いまだに原因不明のままだ。
復活した死者や、魔獣から守るために、研究に研究を重ね、魔力シェルターが開発された。
シェルターの中には、特殊な魔力が込められているため、魔獣たちは中に入ることが出来ない。
そして、魔力アレルギーで命を落としたものは、魔力暴走を起こし、危害を加える恐れがあるため、シェルターの外に運ばれることになっている。
そうすることで、シェルターの中の安全性は確立されるという事だ。
魔獣となった動物たちは、死の間際に元の姿に戻り、先ほど話したエネルギー源となっている魔力の原石も、これら魔獣の体内にあることもわかっている。
元の姿に戻った動物たちは、原石と共に食料としてハンターに運び込まれ、我々人類の必須品として使われる。
そのハンターを育成するのが、この学校だ。
いいか? ここテストに出るから覚えておけよ~」
「はーい」
だるそうな声が響く中、一人の女の子は頬杖を突き、外を眺めていた。
「姫野、姫野くるみ、聞いてるか?」
突然教師に名前を呼ばれ、くるみは「は、はい」と慌てて返事をする。
生徒たちがクスクスと笑う中、教師は気を取り直すように切り出した。
「じゃあ次行くぞ~。 ハンターの中にはジョブと言う職業があり、これらは生まれ持った魔力の色で決められる。
これら魔力の色は、測定器を使用しないとわからないし、どれだけの魔力を保有できるかもわからないままだ。
赤は物理攻撃タイプのナイト
青は魔法攻撃タイプのマジシャン
緑は回復や補助魔法が専門のヒーラー
戦闘を繰り返していくうちに、魔力カラーが変わることもあり、ジョブチェンジをできることもある。
が、これらのジョブには、メリットとデメリットがある。
ナイトは勇敢で知能もそこそこ高いが、攻撃力がそこまで高くなく、どちらかと言うと防御タイプだ。
マジシャンは知能が高いが防御力が低く、奇襲攻撃を食らった際には、即死の危険性が高い。
ヒーラーも知能が高いが、臆病で直接戦闘には不向きだ。
君らの性格は、これらのジョブに影響されることがあるから、カラーが変わったからと言って、むやみにジョブチェンジをすると痛い目にあう。
それと、これらには上位職と言うものが存在する。
物理攻撃に特化され、打たれ強いウォーリア。
物理攻撃と魔法攻撃が同時にできるマジックナイト。
魔法攻撃をしつつ、回復魔法を使えるウィザード。
全ての攻撃を受け止め、後援を守りつつ、自己回復ができるタンクナイト。
そして高威力の魔法攻撃と、破壊力の高い物理攻撃力を兼ね備え、回復魔法も使えるマジックウォーリア。
これはあくまでも理論上の話だし、最初に魔力の確認が出来てから、500年以上もの間、上位職のハンターが突如現れたのは数例程度だ。まぁ習熟度を高めればなれないことはないが… ここは覚えなくていいだろ。 じゃあ次…」
教師がそう言いかけると、チャイムが鳴り響いた。
ガタガタと生徒たちが立ち上がる中、「次の時間は魔力測定あるからな~。チャイム鳴ったら廊下に並んでろよ~」と教師が言うと、生徒たちはだるそうに「はーい」と言うだけだった。
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