抑止力

「やれやれ、次はこの惑星か。」

「ここが終われば長期休暇だ。頑張ろうぜ。」

そう言って二人の異星人は、宇宙船の進路を地球軌道へと定めた。


「よし、じゃあまずは上からだな。」

二人の異星人は、彼らの宇宙船で上空から地球を観察していた。幾度かは雲のため、低空まで降りなければならず、時には地球人に発見されることもあった。

「おい、見つかるのはまずいんじゃねえか?」

「ほっとけよ。どうせ奴らは俺たちの存在すら半信半疑なんだ。ゴシップネタになって終わりだよ。」

そんなことを話しながら彼らは地表の高精度な映像を上司に送信し続けた。


「やっと終わったな。」

「ああ、だがここからの方がもっと大変だぜ?」

彼らは一通り地上の映像を送り終えると、特殊スーツで地球人に擬態した。

「はは、なかなか様になってるじゃねえか。」

「あまりはしゃぐなよ。ばれたらさすがにやばいぞ。」

宇宙船は、人気の無い砂漠に着陸し、彼らは地球に降り立った。

「目的は、地球人の軍事力の調査だ。」

「さっさと終わらせて帰りたいな。」

「馬鹿言え。半年はかかる大仕事だぞ。」


半年間、彼らは地球人に紛れて生活した。

「うーん、この不細工なおっさんの顔にはなりたくねぇなぁ。」

「仕事なんだからしょうがないだろ。文句言わずに行ってこいよ。」

彼らは時に軍の要職の人物に変装し、各国軍の軍事力、基地の規模、装備などを細かく調べ上げた。


「これは驚いたな。」

「ああ、こんな状況だとはな。」

「まあ、とにかく上に直接報告しよう。」

「やっと帰れるな……」


母星に帰った彼らは、上司に報告した。

「予想に反して、地球人の軍事力は強大です。

装備は核ミサイル程度ですが、量が膨大で地球を簡単に破壊できるほどにはあります。」

「なに、それでは地球を征服するのは難しいか。」

「はい。あれほどの武装、恐らく我々が攻め込もうとするのも見抜いているからこそかと。」

「地球人め、恐ろしい奴らだ。」

「ええ。ろくに宇宙に出てないので馬鹿にしてましたが、侮れない奴らです。」

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