絶滅
「やった、完成だ!」
S博士は一体の美しく銀色に光るロボットを前にしてそう叫んだ。
「博士、ついにやりましたね!」
「ああ、これで世界中の絶滅危惧種が救われるぞ!」
彼らはまさに狂喜乱舞といった有様であった。
数日後、彼らは学会で例のロボットを紹介した。
「このロボット〈プロメテウス〉は、今まで人の作業に頼ってきた希少な動物の保護活動を全自動で完全にこなすことができるのです。」
「しかも、他の〈プロメテウス〉および中枢のマザーコンピュータとネットワークを形成し、それぞれの種の生息数、地域、天敵などあらゆる情報を収集、活用することができます。」
〈プロメテウス〉の機能は他の科学者をうならせた。
「これがあれば希少種の保護など楽勝ではないか。」
「その通りだ。ただ生息地に何体か置いておけばいいんだから。」
〈プロメテウス〉はあっという間に全世界に広まった。彼らは絶滅危惧種の子供を守り、えさを集め、危害を加えようとする害獣を駆除した。
人間たちはただ見ているだけでよかった。
数年後、とある町で動物園の虎が逃げ出した。
地元警察が虎を包囲し、射殺しようとしたその時、数体の〈プロメテウス〉が現れ、銃をかまえた警察官を次々に殺害した。
「何をするんだ!」
同僚を殺された警察官がそう叫ぶと、〈プロメテウス〉達は銀色の体を揺らして返答した。
「虎の生息数は現在3200頭です。
ヒトの生息数は現在75億頭です。
マザーコンピュータは生息数の多いヒトを多少犠牲にしてでも、希少な虎を保護すべきだと判断しました。虎を保護するために、ヒトの駆除を開始します。」
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