無名小説家の図書館巡礼・寄贈の旅

与方藤士朗

第1話 図書館への寄贈

 もうご存知の方も多いと思われるが、実はわたくし、去る6月20日(一応22日となっているが、暦で20日が天赦日であるため、この日の発売ということで自分ではそう意識しております)、小説としては初出版となる作品を世に出しました。


 「一流の条件 ~ある養護施設長の改革人生」つむぎ書房


 この本、諸般の事情により百数十冊手元にあります。先行販売的に何人かの知人その他、お読みいただき、いくつか感想もいただいております。

 なんと申しましても、当方、こちらのカクヨムの著者や読者の皆さん以上に年配の人が読者に多いものでして、文字の大きさは、出版社様比の1ポイント大きくさせていただきました。

 内容うんぬんより、こちらのほうが好評です(苦笑)。

 決して、「ないようがないよう」なんてことは、ないはずです(きっぱり)。


 さて、知人等に配布もしくは販売させていただいておりましたし、今もしておるところではありますが、まだ半分強残っております。

 実は14年前の2006年、本名名義で地元の出版社より「企画出版」で著書を出しまして、その時は、300部買取しました。で、それがなんと、1年もすれば全部、配ったり売れたりで、手持ち分以外が全部消えてしまいました。

 しょうがないので、余っているものを出版社の倉庫から在庫処分を兼ねて? 段ボールごともらってきて、それで売るような真似もしておりました。

 このときは、幸か不幸か、国立国会図書館はもちろん、岡山県内の図書館のあちこちで「郷土資料」として購入してもらえていまして、こちらが献本なんて意識もしておりませんでした(マジで)。しかも、自伝的な要素のある旅行記でしたから、わりによく売れておりましてね、私の周りでは、の話ですけど。


 で、今回は初めての商業出版となりましたが、前回の企画出版の300部買取とその売れ方に、出版社の方が妙に異常に興味をお示しでした。

 もちろん、ここまでの話になれば、国立国会図書館への寄贈は出版社様が行われます。現に私の著書も、国会図書館にすでに蔵書としてあります。

 閑話休題。

 出版契約内容の詳しいことは省きますが、今回も、その「買取」に相当することを行わせていただきました。

 でも、今回は前回と違い、名刺代わりに配れるような本じゃない。

 表紙は、めちゃくちゃきれいだよ。

 写真もそうだけど、表紙の紙も、結構いいものを使っていただいています。

 帯もないし、エコだぞ(そでしょ~苦笑)。

 てなわけで、さあ、どないしょ。


 前回と同じ調子で売るとか配るという手もある。

 確かにそうすれば、目先の小金は手に入る。

 それで酒も飲めよう(そこかよ~苦笑)。

 それよりは、もっと皆さんに読んでいただけるようにするにはどうしたらいいか?


 出版よりおおむね2か月が経過しつつあったこのお盆前のある日。

 暦の上では、立秋を過ぎた丁度その頃。

 ふと、岡山県の図書館の横断検索サイトを見る機会がありました。

 すると・・・!


 とある自治体の図書館様が、1冊購入してくださっていました。

 やった~~~!

 でも、他の図書館で入っているところは見当たらん。

 天下の岡山県立図書館様の蔵書にも、ないではないか(これは困る)!


 無理も、ないか。

 今回は小説、しかも、地元の出版社ではなく、東京の出版社から出されたもの。

 知られてないのも、無理はなさすぎだぞ。


 というわけで、考えました。

 目先の小金(=酒代!)にするよりも、図書館に寄贈してわたくしめのチメード(知名度、のはずだけど、「致命度」になっちゃ、まずいね~苦笑)を挙げたほうがいいのではないか?


 そこで、2010年8月9日(日祝)、ついに、このプロジェクトを始動しました。

 まずは、いつもお世話になっている岡山県立図書館。

 なんせ、この小説を書けるようになったきっかけは、この図書館で見つけた日本映画「Little DJ~ 小さな恋の物語」。その出会いがあっただけじゃなく、現実にたくさんの本や資料を高校時代から活用させていただいているこの図書館様に向かって、「買ってまいれ」はなかろう。

 ということで、話は決まった。


 ではこれから、拙著の寄贈にまつわる話を、ひとつ、旅行記ともエッセイとも何ともつかぬ話を、皆様にご披露してまいりたいと存じます。

 これから先出版される皆様にとって、私の経験がお役に立てれば幸いです。

 執筆や出版にご縁のない方にとっても、こういう世界があるのだということをこれを機会に知っていただければ、ますますありがたく存じます。

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