第3話

夜。


彩花は今日も配信アプリを開く。


「良かったー、間に合った」


スマートフォンの中から


「やっほーみんな~」


という声が聞こえてくる。


「今日は、新しく買ったゲームをやっていくよ!」


といってサッカーのゲームを始めた。

ゲーム実況だ。

といっても、実況するというよりはただレオ様がグダグダ喋りながらゲームをするっていう感じ。


彩花は、やっぱり、似ているなあ、、と思った。

講義が終わったあとに聞こえた声。


誰かは分からないけど、同じ大学の一年生。

一年生の間は皆受ける授業は一緒だ。私たちの学年は全員で200人。

多い。

けど、毎日会う人の中にレオ様に似ている人がいる。

それだけで彩花は少し嬉しくなる。


「あー、ミスったあ。クソッ」


ちょっとキレているレオ様もかわいい。

なんだろう、強いていえば、母性本能をくすぐるっていう感じ?

キレ方が子どもっぽいからだろうか。


コメント欄を見ると、


「頑張ってー♡」「怒ってるレオ様かわいい」「かわいーw」「難そう(´・ω・`)」


とファンの女の子たちがコメントしている。

レオ様のファンの9割が女の子だ。

レオ様には女の子を引き付ける何かがあるのだろう。

才能が。


レオ様がコメントを読む。

「なになに、宿題が終わらないってー?やらなくてもいいよ、んなもん!俺なんて小学生のときに宿題やるのやめたよ?」


たぶん嘘だ。

そもそも、ゲームをしているので適当に話している。

それでもいいのだ。

というより、このレオ様の適当さがウケているような気もする。

もちろん私もこの適当な雰囲気が好きだ。



次の日。

いつものように授業を受ける。

ふと後ろを見ると、昨日と同じように例の男子学生四人がいる。


ゲッ


まあ、席は自由だから、仕方ないか。

というか、今まで気づかなかっただけで割りと近くにいたのかも。


後ろの席の男子たちは、ふざけているのかクスクス笑っている。


その中に、レオ様に似ている人の声も混じっている。


どうやら、レオ様ボイスの青年は、昨日「うるさ。」と私たちに言い、なぜか私をガン見していた男と同一人物らしい。


その男は友達から「だいすけ」と呼ばれている。


だいすけ、、、

全然レオ様っぽくない。

やっぱり別人なのだろうか。


その日から、彩花は「だいすけ」のことがなんとなく気になるのだった。


授業中、彩花はツイッターをこっそり見る。


この授業は、教授が優しいので、割と何をしても大丈夫なのだ。


「レオ様☆

今日の配信は6時からやりまーす!」


夕方の6時からってことだよね。

了解!と彩花は心の中で言った。

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