第6話 テールスープ
《Graaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!》
「俺のプリィィィィン!」
怒りと悲しみが混じった声で叫びながらバリーがプリンを吹き飛ばした巨大な手を見上げるとそこには黒い体表に更に泥を纏った細く痩せた体ながらも10メートルはあろうかと言う巨大な体、その体から伸びて引きずる長い尻尾と翼を持ったトカゲのような生物。
ドラゴンが聳え立っていた。
「嘘…。」
「ドラゴン!?おいおい…普段、討伐部隊が作られるレベルのバケモンエネミーじゃん…。」
「まずいじゃん…。逃げよう!」
「そうだな!」と言って三人が踵を返した瞬間。
《Ggggaaaaaaa!!》
ドラゴンは再びその手を目の前に振り下ろし、地面に叩き付けた。
「…逃がしては貰えなそうだな。」
「………もしかして。
仕方ありません…戦いましょう、おねーちゃんおにーちゃん。」
「やるってお前…。」
「私に策があります、私が攻撃を引き付けますのでおにーちゃんはおねーちゃんを守って下さい、おねーちゃんは…。」
ドラゴンが再び手を持ち上げて三人めがけて振り下ろした所をバリーとリンがエアリィを支えつつ避け、避けた先に倒れていた大木に身を隠しながらリンが作戦を提案する。
「でも、リンちゃんが危ないんじゃ…。」
「今の私はおねーちゃんの作った最高の体におにーちゃんのプリンで力が溢れている状態です。
つまり…無敵です。」
「はぁ…そのまま逃げてもやられそうだし、仕方ないがそれで行く。
でも、無理するなよ。
ハンターは戦う職業じゃない、狩る職業だ。
真正面での囮はとにかく攻撃を受けない事を優先しろ。」
ため息をつきながらバリーはリンの案に賛同してその背を叩いた。
「安心して下さい、私はおにーちゃんの10万倍は頑丈なので攻撃をしたドラゴンの腕の方を折ってあげます。」
「おう、期待してる。
じゃあ、行くぞ!」
「リンちゃん!気をつけて!」
三人は一斉に飛び出して、リンはドラゴンの正面にバリーとエアリィはそこから10メートル後方に位置を取った。
《Graaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!》
「上から爪を振り下ろすだけで脳がないですね…!」
流石に三度目ともなると慣れてきたのかリンが最小限のステップで回避し、その腕に右の拳を叩き込んだ。
《Gu!?》
「よしっ!」
ドラゴンは少し驚いた表情をしてエアリィは喜びの声を上げたが、その衝撃は全身に纏わり付いた泥に吸収され、逆にリンの拳が泥にくっついて取れなくなっていた。
「よしっじゃねーな!こっちだデカブツ!」
バリーが矢をドラゴンの顔に向けて放つ、しかしドラゴンは腕を振り矢を叩き落とした。
その際、泥に張り付いてしまったリンが吹き飛んで立ち並んだ気に体を叩きつけられた。
「リンちゃん!!」
「エアリィはそのまま魔法の準備をしてろ!」
叫ぶエアリィを制したバリーが物陰から飛び出し小型の爆弾(爆竹)等で注意を引きながら矢を放ち続ける。
「体の泥のせいで矢が刺さった所でダメージ無さそうだな…早くしてくれよ…エアリィ…。」
~~~~~~~~~
「リンちゃんが…でも、今ボクが出ていったらバリーまで…」
リンのダメージで混乱しながらもエアリィは杖に魔法を溜めていた。
普段は杖を向けて魔力を込めるだけで大きな魔法を放てるエアリィも長時間のチャージが必要な魔法なのである。
「魔力溜めてるから援護も出来ないし…お願いだから無理しないで…。」
~~~~~~~~~~~~~~
「…くっついていた右腕が千切れて両足は…動かない。
足までの魔力が通っていた場所に何か損傷がありましたか…土の体なので痛みなんてありませんが。
しかし、コレでは足手まといですね…どうすれば…。」
満身創痍の体のリンはバリーが戦っているのを眺めながら呟いていると残った左手に冷たく湿った感触があるのを気付いた。
「コレは…。
ごめんなさい、おにーちゃんコレは全部私がいただきます…。
まぁ、私はおにーちゃんのかわいい妹なので許していただけますよね?」
リンは『ソレ』に向けて微笑んだ後、土と一緒に『ソレ』を頬張った。
~~~~~~~~~~~~~~
「あー!ぜんっぜん効いてねぇ!エアリィもまだ時間かかりそうだし!
妖精相手だったからマトモな攻撃用の魔符なんて持ってないし!」
《Gru…
GAAAAAAAAAAAAAAAA!!!》
意味が無いと知りながらも矢を放ち続けるバリーにドラゴンも怒りが溜まったのか、口を大きく開いてバリーに向けた。
(あ、ヤバいコレ死ぬ…。)
諦め顔になったバリーへドラゴンが口から大量の泥を光線が如く吐き出す。
その攻撃がバリーへ届く直前、バリーは『何か』に抱き抱えられ間一髪攻撃を回避した。
「諦めないで下さい。おにーちゃんが居なくなったら誰がおねーちゃんを守るんですか?」
バリーを抱き抱えていたのは先程吹き飛ばされた筈の『リン』であった。
同じ声で憎まれ口を叩いているが、その身長は3mをゆうに超えて体つきもすっかり大人の女性になっている。
「吹き飛ばされたと思ったらピンピンしてるじゃん…。」
「飛ばされたプリンをいただきました。
名前書いてなかったのでおにーちゃんのモノではないと思ったので…。」
「なるほど…ゼリー一口であそこまででかくなるならプリン全部食べたら凄いことになるよな…!
次からは名前書くようにする、お前もプリンを食べる前は誰のか聞きなよ?」
「私は好き好んで食べません。」とリンが返しながら次々と飛んで来る敵の攻撃を回避し、エアリィと合流した。
「リンちゃん…!良かった!」
「おねーちゃん、ご心配をおかけしました。
お願いしていた魔法は…。」
「今、丁度行けるようになっt…。」
《GLAAAAAAAAAAAA!!!》
ドラゴンが再び咆哮を上げると口を三人に向け、大量の泥を吐き出して攻撃をする。
「「「!?」」」
驚くエアリィとバリーの前を塞ぐようにリンが前に出て泥の攻撃を防ぐ。
「今のウチに…!おねーちゃん…!」
「リンちゃん…でも!」
攻撃を防いでいるリンのお陰で二人には攻撃は届いていないが、リンの体は再び崩れはじめている。
「今やらないと全員死にます!早く!」
「…うん…!」
涙目になりながらエアリィは杖を空に向けると浮かんでいた雲がドラゴンの上に集まり、そこから雨が降り、雨は収束して巨大な三本の槍のような形状でドラゴンの二枚翼、そして尻尾に突き刺さり、尻尾を切り落とした。
《GYAAAAAAAAAAAAAA!!!!》
「急所を外した…!ゴメン…!」
「急所に当たった所で討伐は出来なかっただろうな…。
今のウチに逃げるぞ!」
「うん…。」
踵を返し逃げようとする二人とは逆にリンはドラゴンに向かっていく。
「リンちゃん!?なんで?」
「私は今の攻撃でまた足がロクに動かなくなりました。
このままではおねーちゃんとおにーちゃんに迷惑をかけます。
ここはお二人で逃げて下さい。」
「ダメだよ…リンちゃん…!」
「安心して下さい…妹(わたし)はおねーちゃんがいる限り無敵です…!」
「ここに居たらせっかくの作戦もリンの覚悟も無駄になる…!行くぞ!」
バリーは泣き叫ぶエアリィを抱き抱え、街の方角へ向けて逃げ去った。
~~~~~~~~~~~~~~~
ウードリアの街に帰ったバリーとエアリィはギルドで報告を行っていた。
「なるほど…フェアリーと同じ場所となると街からも近いな…。
サン、今すぐ偵察隊を組んでどこに行ったか向かわせてくれ。」
ギルドのトップであるキルスが受付嬢のサンに指示を出すとサンは急ぎ足で依頼書を作りに走り去った。
「さて…お前らも大変だったなぁ、あのドラゴンは今までギルドに報告のないエネミーだし、おそらく元々はここら辺のヤツじゃねぇんだろうな。
アイツに関してはギルドで調査しておく。
まぁ、取りあえず今日の所はゆっくり休んでくれや。フェアリー退治の報酬は後でお前らの部屋に送っておくから。」
「お気遣いどーもです。」
「あの、おじさん。」
「ん?なんだ?出来ればナイスガイと呼んでくれ。」
「ドラゴンの場所が分かったらボク達にも教えてくれない?
リンちゃんの敵を取りたいんだ…。」
「リン?あぁ、最近お前らが作ったゴーレムだっけ?
自分のペットに愛情を込めるとは泣けるじゃねぇか!任せておけ、ドラゴンの棲み処の報告はお前らの所にも行くようにする!」
「妹だよ。」とエアリィはうつ向いて小声で言ったがキルスには聞こえず、バリーはエアリィの背を押してギルドを後にした。
~~~~~~~~~~~~~~
バリーの部屋へと帰る途中
「…バリーのバカ…バリーのバカァ!」
とうとう耐えきれずエアリィは泣きながらバリーをポカポカと叩き始めた。
「そう言われてもなぁ…あのままリンを連れて帰ろうとすると俺達もやられていたぞ?」
「別にいい!どうせボクの寿命なんて短いんだし!」
「おい、そんな事言うな。
俺はお前のその病気の事を承知した上でお前に幸せになって欲しくてお前と一緒に居るんだ。
それに、自分から死ぬとか言ったら…。」
最初は頭を掻いて困った顔をしていたバリーは段々と強い口調でエアリィを諭しながら自分のポーチに手を伸ばし、その中から。
「コイツが悲しむだろうが!」
そこから取り出したのは黒い長髪に濁った灰色の瞳、数時間前には3メートルを越えた美女だったが、今は身長80センチの幼い印象を受ける二人の『妹』…。
「随分と雑に取り出しますね…。
ただいま戻りました、おねーちゃん。」
リンが猫の子供のようにバリーに掴まれた状態で現れた。
「…
……
………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
バリーの部屋
エアリィが部屋の真ん中で仁王立ちしてバリーとリンがその前で正座している。
「えーと…エアリィさん?
なんで我々はこんな状態に…?」
「そりゃモチロン…なんでリンちゃんが無事な状態でバリーの空間拡張ポーチから出て来るのか?
納得出来る説明をボクにしてもらうためだよ!」
「ああ、それは『コレ』をリンに張り付けたんだよ。」
バリーはリンの背中に手を伸ばすと一枚の魔符を剥がし取った。
「ソレって…転移魔法の魔符?」
「そう、リンに作戦を伝えられた時に背中を叩いただろ?
その時張り付けた。
前衛って何かと危ないからもしかしたらと思って勝手に張り付けたけど、上手く行ったな!」
「かわいい妹を雑多なポーチに詰め込む鬼畜おにーちゃんのせいでかっこよく散れませんでした。
エネミーの素材だらけで息苦しかったです。」
「普段は重かったり巨大だったりな食材…じゃなくてエネミーの素材をポーチに転送して楽に運ぶためのモノだからなぁ。
転移の魔符って高いし。」
「ハッハッハッ」と笑うバリーにエアリィはドロップキックをかました。
「ボクは本気で心配して、本気で泣きながら無理やり連れられて帰ったんだよ!?
笑わないでよ!
ホントに…リンちゃんが死んだと…。」
「…ご心配をおかけしてごめんなさい、おねーちゃん。
しかし、先程も言いましたが妹(わたし)はおねーちゃんがいる限り無敵です。
まぁ…今回はおにーちゃんに助けられなければマズかったですが…。」
「そうだね…無事に戻ってくれてありがとう…でも、もう危ない事しないで…。」
「おねーちゃんを守るのは私の最優先なので約束は出来ませんが…承知しました、善処しましょう。」
「そこは嘘でも即答してほしかったなぁ…。
バリーもありがとう、リンちゃんを助けてくれて。」
「気にするな、たまたま持ってたモノが役に立っただけだ。
それに、お前らのお陰で俺も得したし。」
「え?」
珍しく爽やかに笑いながら意味不明な事を言ったバリーにエアリィは疑問の表情を浮かべた。
「リン、『アレ』持ってきてくれた?」
「こっちは命からがらだと言うのに…妹使いの荒いおにーちゃんですね。」
リンは先程自分の出てきたバリーのポーチに上半身を突っ込んで黒くて長い巨大な物体を取り出した。
「さっきの泥ドラゴンの尻尾~!
戦ったからには何かしらのリターンがないとな!」
ポーチから出てきたのは先程の戦闘でエアリィの魔法で切り取られたドラゴンの尻尾。
リンがバリーに転送される前に取得していたらしい。
「せっかくだから今日はコレを料理して食べr…。」
再びバリーの顔にエルフキックが飛んで来た。
~~~~~~~~~~~~~
「さて、親にエルフキックをかますようになってしまった不良娘の心と体を温めるために今日はスープを作っていこう。」
「誰がボクの親だよ?ボクより年下じゃん…。」
「まぁ、仮におねーちゃんが人間でも30歳ちょっとのおにーちゃんがおねーちゃん位の子供持ってるのはおかしいですけどね。」
「おい、俺はまだ20台だ!
…まぁ、ソレはさておき。
まずは皮を剥いた尻尾を下茹でする。いきなり沸騰したお湯に入れると血生臭くなるので水から温めて沸騰したら10分を目安に。」
鍋に水と尻尾を入れてソレを台の上の魔符に乗せると魔符から火が出た。
「…ホント、バリーは攻撃には魔法使わないのに器用に魔符を使いこなしてるよね。」
「魔符は俺のような魔法が使えないヤツにも魔法の恩恵を肖れる素敵アイテムだからなぁ…文明の利器は使ってなんぼだ。
下茹での間に野菜を切る。
使うのは玉ネギと青ネギ、ニンニクや生姜と言ったエネミーが嫌う香味野菜。
…直接食べる訳ではないからテキトーに。」
テキトーとは言いつつ大きさは揃えて野菜を切り、その後鍋を火から下ろしてお湯を捨てた。
「次に水で肉の臭みを洗い流す…意外と牛のテールよりも臭み少ないな…。
エアリィ、その鍋すぐ使うから洗っておいて。」
不機嫌そうではあるものの、エアリィ「はーい。」と返事をして下茹でに使った鍋を洗う。
「洗った鍋にドラゴンのテール肉、切った野菜、肉が浸る程度の水を入れたら沸騰するまで強火でドーン!」
火の魔符を強い物へと変えるとバリーは高笑いしながら鍋にかける。
「コレをォォォォ!
…灰汁や浮いた余分な脂を取りつつ蓋をして2~3時間煮込みます。」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「肉の塊だし、まだ日が高いから夕食まで時間あるから良いだろ?
久しぶりの自室だからゆっくり調理させてくれよ。」
「いいけど…。」
「と言うわけで二人は体でも洗って来たら良い。
ギルドにならデカイ風呂あるから。」
「土ゴーレムである私に風呂に入れと…?」
「あ…それもそうか…。」
「まぁ、入れますけど。」
「無意味なやり取りやらせるな。」
二人は着替え等の準備をすると部屋を後にした。
「……………今回は…また同じ事をさせるかと思った…けど、最終的には無事に守れたぞ…『エデ』…。」
部屋に残ったバリーは一人静かに呟いた
~~~~~~~~~~~~~~
数時間後、ギルドに併設していた大浴場から上がったエアリィとリンが部屋に戻ってきた。
エアリィは右側に一つに縛っていた金色の髪を下ろしてタオルをヘアバンド代わりに巻いていて、リンは外見こそ変わりないが肌がつやつやと光って陶器のようになっている。
「ただいマンゴープリンのぬか漬け。」
「ンタウロス。」
「お帰り。
美味そうなのか不味そうなのか分からないエネミーだな。
今、丁度煮込み終わった所だから仕上げをしたら食えるぞ。」
バリーは鍋の蓋を開いて
「あれ?さっき入れた野菜は?」
「出汁として使用しただけだから取り出した。」
「食べないと言ってましたね、なら私に下さい。
土の栄養になりそうなので。」
リンが背伸びをしながら調理台の上の野菜をつまみ食いするのを黙認しながらバリーは調理を続ける。
「野菜を取り出してから更に数十分煮込んだスープの味を塩コショウで整えたら器に盛り付け、白ネギを乗せたら…。
『ドラゴンテールスープ』完成!
パンとウサギ(アルミラージ)肉のハムと合わせて今日の晩飯だ。
デザートに意地で作り直したフェアリープリンもあるぞ。」
部屋の真ん中にあるテーブルに二人分の料理とリン用の一口スープを運ぶとバリーはエアリィとリンを椅子(リンにはクッションを一段追加)に座らせ、バリーは近くに転がっていた木箱に座った。
「久しぶりにこの部屋でメシ食べる気がするな…。
そんじゃ、全員手を合わせて。」
「「「いただきます。」」」
「味付けはシンプルだけど、野菜の甘さとドラゴン肉の濃厚な味がスープに出てて美味しい~!」
「エアリィ…とうとうエネミーに対して文句言わなくなったな。
まぁ、今日のスープは丁寧に作ったから…もっと誉めろ。」
バリーも食事に手を付けようとするとリンはバリーに向けて口を開けた。
「…リンちゃんや、わしゃ昼間に『自分で食える』と聞いたんじゃが?」
「気が変わったんですよおにーちゃん改めておじーさん。
実験は同じ方法でやるのが好ましいんでしょ?」
「めんどくさいだけだろ…お前…。
なんかもっともらしい言い訳された気はするけど、まぁ良いか。」
バリーはスープをスプーンで一掬いして溢さないようにやや慎重にリンの口へ運ぶ。
リンの体は少し隆起して身長が伸びたが驚くような変化はなく、バリーが測ると141cmであった。
「マンドラゴラよりは魔力多いけどドラゴンの狩猟難易度には見合わないな…。」
「魔力で戦うってよりも肉体でドカーン!って感じのイメージだもんねぇ。」
熱そうににスープを冷ましながらエアリィは簡単な考察を述べる。
「狩猟難易度と魔力量が比例しないのはフェアリー見れば分かるか…。
コレが世間に知られればあのクソエネミー…フェアリーがもっと魔法使いに狩られたりしないモノかねぇ?」
「魔力があっても、食べようとは考えないと思うよ?」
「…まずはエネミーに対するゲテモノイメージの払拭をしないとだなぁ…。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
森の奥
小さな子供が二人で肝試しをしていた。
「ねぇ…帰ろうよ…里の裏の沼にお化けが出るってお父様達が言っていたんだよ…?」
「そんなの、俺たちを脅かす嘘に決まってるさ!
それとも、お前一人で帰るのか?
この怖がり!」
「怖がりなんかじゃ…。
あっ!う…後ろ!」
「へっ!そんな嘘で俺が怖がるわけ…。」
強がりながら少年が振り向く。
《Gruuuu…》
するとそこには沼の泥を体に纏わせている巨大なドラゴンの姿があった。
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