第34話 ダンサーとしての生活

僕は事務所に所属せずに、フリーランスのダンサーとして活動していたので、基本的に人伝で来た仕事をするか、オーディションを受けるかして、仕事をしていた。


その中にはテレビCFやドラマ、映画、アーティストのプロモーション・ビデオなどの映像作品などの撮影の仕事もあったし、振付やダンス指導など、ひと口にダンサーと言っても、その業務内容は多岐に渡る。

行く現場毎にやる事が全く違うので、飽き性な性格にはピッタリの仕事だった。

撮影は数時間で終わる事もあれば、何日間かに渡って続く事もあった。

撮影の仕事の場合、振り入れ(振付を覚える事)のリハは当日の場合が多かった。その場で覚えて、すぐ本番という塩梅。もちろん、中には前日に振り入れという仕事もあったけど。


劇団の振付もやった。

ナカタニさんの劇団の振付で学んだ事が活きた。


アーティストの振付の仕事もやった。

都内のスタジオでのリハーサルに呼ばれて、振付を教えて修正して、という感じ。

たまにリハーサルとリハーサルの間が数時間空くと、都内の仕事だと僕は近い場所にある寄席や演芸場に行って落語を聴いてリハに戻ったりしていた。

現場に行く間、iPodで落語を聴いて向かって、待ち時間が出来ると『東京かわら版』を片手にサクッと落語を聴いて仕事に戻る、という塩梅。


常に大きな荷物を背負っていた。

中身はというと、着替えに履物、音楽CD。

噺家になった今の荷物は、着替えに履物、出囃子のCDという訳で、洋服から着物になった違いはあれど、持ち物の種類的には実はあまり変わっていない。


ダンススタジオやスポーツクラブでダンスを教えながら、たまに地方のダンススタジオに呼ばれて行く事もあった。

泊まりの仕事の場合は、その土地のCLUBに踊りに行き、地元のダンサーたちと仲良くなったりした。


昼間は仕事、夜はCLUBで過ごし、家には寝る為に帰るという生活だった。


毎日、それなりに充実した日々を過ごしていた。

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