第27話 ちゃあちゃんとのエジプト旅行7

1月30日。


僕はこんなに泣いたのは、本当に久しぶりの事だった。

こんなに悲しくて切なくてやりきれなくなって、涙が止まらなくなってしまうなんて。


カイロ空港に向かうバスの中から、カイロの街並みを、最後のエジプトという国を見ていたら、胸が締め付けられて、涙が溢れて止まらなくなった。

ハッサンの教えてくれた物事が頭の中で蘇って、悲しみは益々大きくなってゆくばかりだった。


昨日の夜、僕とハッサンの手のひらを合わせた時、大きさが殆ど一緒で、ハッサンは僕の事を「私の分身」と言ってくれた。

本当に兄のように慕っていたし、彼もまた僕の事を弟のように可愛がってくれた。


僕は思った。


エジプトに着いた時、僕は死んだ。

死んでしまった僕は船に乗り、ハッサンという兄に再会して太陽の旅をしていた。

そしてまた二人とも別々に復活をするので、別れなければならないのだ、と。


国を超えて、人種を超えて、友情を育む事が出来たのが何より嬉しかった。

ちゃあちゃんに旅行に誘って貰わなければ、この旅で得た経験は出来なかった。

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