第28話 ちゃあちゃんとのエジプト旅行8

1月31日。


空港に着いた時、僕は違和感を覚えていた。

ここは異国じゃないか?と。

日本語の文字の案内や日本の風景を見ていても、僕はすぐにまた飛行機に乗って旅立つ気がしていた。


添乗員のYさんや、その他の今回のツアーで一緒にエジプトを歩いた人たちと別れ、いよいよ上様、ジュンコさん、ミカさんとの別れが近づいているのを感じながら、僕はその全てを否定したかった。

でも、時間は残酷なもので、僕から兄だけではなく、姉たちも奪っていった。

僕らは固く握手をした。

こうして、僕らは別れた。


久々に乗る電車も、まるで初めて乗るような錯覚を覚えた。

電車を乗り継ぎ、僕とちゃあちゃんは南砂町駅に帰ってきた。


冬の陽射しに彩られ、寒々とした景色の中、僕は一人煙草の煙と共に、様々な想いを吐き出した。

訳も無く叫び出したかった。

それはまるで最愛の恋人を失ったような、そんな胸の痛みだったのかも知れない。


でも、僕は背中を押してもらった。ここはゴールじゃない、明日へのスタートラインに立ったのだ。

幾つかの出逢いと別れは、僕の中でいつまでも生き続け、そして僕の生きる原動力となっていくのだろう。

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