第17話 恋の抜け殻

小学生の頃、同級生の中でも大人びていて、綺麗な女の子の事が好きだった。

林間学校の写真が廊下に貼り出され、自分の写っている写真を選択して購入する、という事があったのだが、その時はたまさかその子と一緒に写っている(と言っても、当然2ショットの筈は無く、大勢とも一緒だったのだが)写真を購入して喜ぶという、まるで『機動戦士ガンダム』で憧れのマチルダ中尉との集合写真に喜ぶアムロの様な気持ちを味わったものだ。


中学生の頃は大人びていて、おっとりとしたお嬢さんといった感じの美人な女の子の事が好きだった。

ところが僕は非常に奥手だった為、素直に好意を示す事が出来ず、何とかダブルデートをする事は出来たが、卒業式に告白して玉砕。


そして、高校生の頃はとにかく、色んな女の子の事が好きになった。

あの頃の僕は正直、どうかしていたと思う。

ちょっとでも好きになると片っ端から告白してはフラれるという事を繰り返していた。

四国のバイトの後、中学の頃からの憧れの存在であった子に再度告白、両想いである事が判明したが、結局、僕のせいで破局。


その後、中学の頃はどちらかというと苦手だった子と付き合う事になった。

その子の事は綺麗な人だなとは思っていたけど、自分とは違うグループにいたから、勝手な苦手意識を持っていた。

僕は彼女との恋愛にのめり込み、他のあらゆる物事を打ち捨てて、彼女との時間だけを求めた。

部活動も友人も何もかも。一切の物事から遠ざかり、彼女の事だけを思った。音楽もダンスも。この時ばかりは全て、彼女と繋がる為の道具でしか無かった。

「恋に落ちる」という言葉の通り。

底無しの恋という名の穴に真っ逆さまに落ちていった。


やがて、彼女と別れ、僕は抜け殻になった。

何も手につかない。忘れられない。

死んだ恋の呪文は、消えずに僕を焦がし続けた。

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