第10話 中学校入学

どうにか受験にも合格し、三鷹にある明星学園中学校に進学した。

明星学園は小中高一貫校で「自由」をモットーとしており、校則も制服も無かった。学年は小中高と加算して数えていくので、中学一年生は七年生、高校三年生は十二年生となる。

営団地下鉄(現・東京メトロ)東西線の南砂町駅から吉祥寺駅まで電車に揺られ、南口の丸井の脇の道を歩いて井の頭公園に出て、更に住宅街を抜けた先に学校がある。

片道一時間程度の通学路。

同じマンションに住んでいるIさんや同い年のYくんと三人で電車に乗る事もあれば、遅刻したりして一人で行く時は、落語のカセットテープをウォークマンで聴いたり、『D&Dがよくわかる本』や『ロードス島戦記 灰色の魔女』、『ドラゴンランス戦記』、阿刀田あとうだたかし先生のショートショートなどを読みながら通った。


新しく知り合った友達に『ロードス島戦記』を読ませ、徐々に『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を布教して、放課後に漫研まんけんの部室でもある美術室に集まってセッションを行なっていた。


やがて『聖刻ワース1092 旋風かぜ狩猟機しゅりょうき』が発売されたり、ウィザードリィフェスティバルが開催されたり、『小説ウィザードリィ 隣り合わせの灰と青春』が発売されたり、やがて元号が平成と変わり、消費税が導入されたり、『ソード・ワールドRPG』が発売されたり、『ロードス島戦記コンパニオン』が発売されたり、と色んな出来事がありつつ、僕はRPGを遊び続けた。

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