第2話 女のケース

私は、花も恥じらう(死語)女子高生。

箸が転がってもおかしいお年頃。(死語)


私は今、イギリスで生活している。

正式名は、グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国というが、

その名で言う人は、余程の物好きだ。


幼稚園卒園と同時に、両親とこの国に来た。

当たり前だが、家庭の事情。


父の仕事はデザイナー。

デザイナーは自由業なので、締め切りさえ守ればどこで仕事をしてもいい。

実力だけの保証のない仕事だが、その点は利点と思う。


父が言うには、「日本人の同調圧力思考が嫌だった」と言う。

幼い私には意味がわからなかったが、要するに「長い物には巻かれろ」なのね・・・


ここへ来て以来、日本には帰っていない。

当時は「帰りたい」と泣いていたが、今はこの国に骨をうずめてもいいと思う。


幼稚園の頃、近所に仲のいい男の子がいた。

毎日、遅くまで外で遊んでいた。

いつも、ふたりだった。


夏になると、ヒグラシの鳴く頃まで遊んでいた。

とても、楽しかった。


なぜいつもふたりだったのか?


私と彼は絵画教室に通っていて、それが日曜以外の毎日あった。

それが、3時に終わる。


それから、夕方までふたりで公園で遊んだ。

つまり、他の子とは時間が合わなかったのだ。


それが、当たり前と思っていたので、他の子の印象は薄い。

その分、彼の事は印象に残っている。


私も彼も、子供の割には絵が上手かった。

将来有望と言われていたが、どうやら当時で完成されていたようだ・・・


父の血は受けずかなかった見たい。


私の両親と彼の両親は、今でもエアメールでやりとりをしている。

両親は、私を含む家族写真を送っている。

彼の家族からも、家族写真がくる。


なので、互いに今の顔は知っている。


でも・・・

彼には会っていない。


夏に行こうと思っていたが、コロナの影響で取りやめた。


彼と会ったら、何を話そうか・・・

その日が楽しみだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る