ヒグラシの想い出

勝利だギューちゃん

第1話男のケース

ヒグラシが鳴いている。


「カナカナカナカナ」


切ない。


夏の終わりから、秋にかけて鳴く。

鳴くのは、その名のとおり、夕方、


夕暮れに鳴くから、ヒグラシという名前がついたのか・・・

もし、早朝に鳴いていたら、ヒノイリという名前になったのか・・・


生物の名前というのは、面白い。


ミンミンゼミや、ツクツクホウシのように、その鳴き声からとったのもある。

安易だな。


ヒグラシの声が聞えると、幼いころに遊んでいた女の子を思い出す。

当時は、まだお互い小さく、異性としての認識はないお年頃。


そして、気がついたら、その子は遠くへ行ってしまった。

まだ、異性として意識する前に・・・


もしそばにいたら、恋人になっていたのか?

いや、それはないな。

高校生くらいの女子は、ワルやスポーツが出来る人に恋をする。

僕のような、冴えない男には眼中にない。


でも、仲良しとしては続いていたと思う。


あっ、彼女は生きています。

遠くと言うのは、海外ということ。

グレートブリテン及び北部アイルランドという国で、生活をしている。


日本にいるのは、嫌だったようだ。


ハワイやアメリカ本土は、ありきたり。

南米は治安が悪い。

南半球は季節が逆。

韓国や中国などのアジア地区は、日本人への印象がよくない。


なので、ヨーロッパのなかから、その国を選んだみたいだ。


「同じ島国だから」

そう言っていた。


まだ、彼女が小さい頃、日本にいたころに、それこそヒグラシの鳴くまで遊んだ。

ヒグラシが鳴きはじめると、親が迎えに来て、手をつないで一緒に帰った。


彼女が引っ越したのは、幼稚園卒園後。


小さい頃のことは、忘れる事が多いが、彼女の事は忘れない。

それだけ、仲が良かったのか?


今、僕はお金をためている。

彼女のいる、あの国に行くために。


でも、コロナの影響で延期にした。

それなら、もっと貯めて、贅沢してファーストクラスで行こうか?


彼女のいる、グレート・・・やめておこう。

素直にイギリスと言おう。


大丈夫か、心配だ。

でも、久しぶりに会って、わかるなか。


彼女のご両親が、僕の両親にエアメールを送っているので、

イギリスにいるのは、間違いない。


彼女の写真もある。


僕の両親も出している、

でも、僕も映っている。


でも、やはりドキドキする。


会いたいな。

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