第1話 出会い
私はアルシノイテリウム。むたいちほーに住むフレンズなんだが、正直目の前の光景に困惑している。というか私じゃなくても困惑するだろう。
何故ならうっかり壁をぶっ壊してしまった建物の中に入ったら縦長な箱型の装置の中で一人の少女が眠っていたのだから。
マジでどういうことだこれ。何これ。顔しか見えないけど何だこれ。
とりあえず装置をいじったり叩いたりしてみる。
だからといって特に何かが起きるわけでもない。
さてどうしたものかと考えていると物音を聞きつけたのか何人か集まってきた。
「お〜派手にやったな」
「何だこれ」
「いや、わからん…」
「とりあえず中に入りましょう」
どうやらホワイトタイガー、ジャガー姉妹、そしてギンギツネが来たようだ。
しかしよりによって
「ねえアルシノ、何かしらこの機械」
ほら食いついた。
「私にもわからん」
「じゃあとりあえず
と工具を取り出すギンギツネ。
あのさあ…なんでもバラせばいいってもんじゃないぞ?
私が呆れているとジャガーがギンギツネを止めに入る。
「待ってギンギツネ、中に誰かいる」
「え?」
確認するように装置を覗き込むギンギツネ。
「あら本当ね」
「誰だ?」
「女の子だ」
「なんでこんなところに?」
「わからん…」
まあ、疑問だよな。
とりあえずなんとかして中の少女を引っ張り出したいところではあるがどうしようかと思考を巡らせていると
「よし、とりあえず一発こじ開けてみるか」
とかブラックジャガーが言いだしやがった。
「お、姉さん頼むよ!」
「おい待て。いろいろと待て」
バラすのはダメでこじ開けるのはいいのか…
「なんだアルシノ、これが一番手っ取り早いだろ」
「確かにそうだが、中の子に万が一のことがあれば…」
「その時はその時だ」
ああ、ダメだこいつ。
私が頭を抱えているのをガン無視して装置に手をかけるブラックジャガー。
「いくぞ。うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!ぬおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ブラックジャガーの雄叫びとミシミシという音が建物内に響く。
最初はびくともしなかった装置だが、やがて本体と蓋の間に隙間ができ始める。
こいつマジ?
「このオレに…こじ開けられないものなんざねええええええええええええッ!おらあああああああああああああああ!」
直後、バキィッという嫌な音とともに装置が開かれる。
それにより中に入っている少女の全身が露わとなる。
黒色の長ーい髪にメガネ、服装は白のワンピースにサンダルか。
なるほどなるほど。
しかし目を覚まさない。
あれだけ嫌な音しまくってたんだけどな。
ふーむ、参ったな…
「起きないな」
「ぐっすりだ」
「生きてはいるみたいだが…」
「でも無理に起こすのもアレよね」
ギンギツネの言う通り、無理に起こす必要もないか。
「うむ、ひとまず戻ろう」
ホワイトタイガーも賛同し、出口に向かう。
私達もここから出ようとした時だった。
「んう…ふああ」
小さな欠伸が聞こえたので振り返ってみると少女が目を覚ましていた。
「あ、起きた」
「マジか」
驚く私達をよそにキョロキョロと辺りを見回す少女。
そして口を開く。
「ここ…どこ?」
え、どこって?え?知らないのあの子?え?
どうやら考えていることは皆同じようで駆け足で集合し小声で話し合う。
「おいおい、流石に物忘れが酷すぎないか?」
「寝すぎて記憶吹っ飛んだとか?」
「あり得る」
「とにかく、話を聞いてみましょう」
「「「「そうだな」」」」
満場一致で少女に話を聞いてみることになった。
「で、誰が行くのだ?」
「私が行こう」
名乗り出たのは私だ。
元はといえば少女を見つけたのは私だからな。
少しずつ少女に歩み寄っていく。
少女は相変わらず状況が把握できていないのか首を傾げている。
とりあえず
「やあ、おはよう」
と声をかけてみた。
少女も
「あ、おはようございます…」
と一応返してくれた。
「君、どうしてこんなところに?」
問いかけてみる。
「…わかりません」
やっぱりか。わからんか。とりあえず他にもいくつか聞いてみるか。
「そうか。君、名前は?」
名前くらい聞いとかないとな。いろいろ不便だし。
しかし、返ってきたのは想定外の言葉だった。
「…わかりません。私が、誰なのかも…」
私は一度連中の方を見てもう一度少女の方に向き直す。
そして一斉に叫んだ。
「「「「「ええええええええええええええええええええええええええ!!??」」」」」
ぱわーいずじゃすてぃす 路凍 @FR_kemono
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