第10話 魔法少女の属性とは①

 「えっと、芽衣ちゃん。わたし昨日訳も分からず魔法少女にされちゃったみたいなんだけど……これからどうすればいいのかな?」


 芽衣に麻子お姉ちゃんと呼ばせるために、モアのことは放っておいて話しかける。

 なんだか不満そうな顔でこちらを見ているような気もするが、きっと気のせいだろう。 


「そうですね……まずは自分の使える魔法を把握しておくのがいいと思います。魔法には、属性があるので」

「属性?」

「ポ○モンのタイプみたいなものだぽん。炎とか水とか雷とか」

「なんでモアがポ○モン知ってるの。というか話に入ってこないで」


 異世界から来たのになんでそんなことまで知っているのやら。

 モア自身がポ○モンみたいなものである。


「そんな感じです。ちなみにわたしの属性は『風』です」

「ああ、だから『風の魔法少女』って呼ばれてたんだ」


 ポ○モンに風タイプは無かったはずだけどね。

 あ、飛行タイプみたいなものか?


「風の属性を持つわたしは、風を巻き起こす魔法が使えるんですよ」

「なるほどなるほど……自分が何の属性なのか把握しておくのが大切なんだ。ほんと、ゲームみたいな話だね」


 なんでもかんでも好きな魔法を使えるってことではないみたいだ。

 わたしは戦闘向けの魔法よりも、瞬間移動とか、空を飛べるとか、そんな魔法を期待していたんだけどな……

 しかし、そういうことなら確認しておきたいことがある。


「その属性って……当たりはずれがあったりする?」


 全然戦闘向けじゃない属性とか、逆にめちゃくちゃ強い属性とかありそうだけど。

 炎属性だったら明らかに戦闘向けだろうし、芽衣の風属性っていうのはどうもそんなに強そうには思えない。


「はずれ……と言えるような属性は無いけど、当たりはあるぽん」

「だからモアは入ってこないでって……当たりはあるんだ」


 ついつい気になって反応してしまった。


「お、気になるぽんね? あるぽんよ。それもとっておきの大当たりが。それは……」


 そこまで言って、モアの表情が変わった。

 急に真面目な雰囲気になって、背筋が寒くなる。

 何かを感じ取ったのだろうか。


「……芽衣。気付いたぽんか」

「うん。……いるのですよ、魔獣が」


 表情は相変わらずクールなままだが、芽衣もなんだか臨戦態勢にように見える。

 まるで、ゲーム配信でベリーハードのボス戦に挑む前のメイルたんのようだ。


「ま、魔獣って……近くにいるの!? というか、わかるの?」

「麻子も慣れれば感じることができるようになるはずだぽん。魔王軍『ネグロ』独特の、嫌な視線……存在感を」


 モアはそう言うと、部屋を飛び出していった。

 芽衣も後に続く。


「ちょ……ま、待ってよふたりとも~」


 わたしは慌てて立ち上がり、ふたりを追いかけて走り出した。

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