第4話 能力者の信念

 川上祐樹は能力者である。

 能力者としての生活も何年もすれば慣れてくるもので、一人ぼっちもそう悪いものではないと感じてきている。

 

 周りの人間はグループを築くのに一生懸命である。

 この箱庭ではアナログネットワークが全てとなる。だから、皆それを形成しようと必死だ。

 この機会を逃せばぼっちルートへ一直線。

 最も、騒ぐしか能がないような人間に成り下がるくらいなら一人の方がましだというのが俺の思想である。


 かのゲーテも自分自身を信じるだけで生きる道が拓けると述べていた。つまり、一人こそが生きる上での最適解だ。以上、定説終了。(一人、爆アド説)

 そもそも学校というものは勉学に励む神聖にして不可侵な場所であると共に、通う意義は人間関係を形成してウェイウェイすることでは決してない。

 

 窓際に位置するこの席は、程よく日光と風が当たりとても心地よい場所だ。一人ぼっちでも席替えは重要だと断言しておく。学校生活は退屈で憂鬱な日々だが俺はずっとこういうものに憧れていた。能力者であることを知られたく無かったのは、ずっと続くようで一瞬で壊れるこの脆い日常を守りたかったからかもしれないと納得した。ちなみに一人ぼっちなのはなるべくリスクを少なくするためで、決してコミュニケーションが苦手という理由ではない。

 

 これからも信じている。「何事にも意味はある」と。日常を護る戦いは始まったばかりだ。

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