第7話 黄金の午後
次に目が覚めたのは、午後の4時過ぎ。茜色の夕焼けが部屋の窓から見える。日の入りも早くなってきたものだ。
俺は大きく伸びをする。寝ていたのに疲れた。だがどこかスッキリとした気分でもある。薬を飲んで寝たからだろうか? 謎である。
ベッドから出て、俺は水分補給の為に居間へと向かう。
スポーツドリンクは寝る前に冷蔵庫に入れておいた為、ひんやりと冷えていることだろう。それを求めて居間に向かう。
桃音はどうしているか──居間に着いても、テレビの音の一つもしないし、いる様子もない。とりあえず……と、俺は冷蔵庫から飲みかけのスポーツドリンクを取り出して飲む。汗もそこそこかいていたので身に染みるようだ。
一息ついて、さてもう一眠りしようと立ち上がった時、視界の隅で何かが動いた。
幻覚か? そう思うにはあまりにも印象に残る。
俺は何かが動いた場所──ソファーに近づく。
そういえば桃音はどこにいるのだろうか? 自分の部屋か? 風邪がまた再発してないといいのだが……。
「──って、ここで寝てたのか」
豪勢にソファーに横になり、心地良さそうに昼寝をしている桃音を見つけた。
ここで寝ていたら、そろそろ冷えてくるだろう──俺は隣の部屋からタオルケットを持ってきて、桃音の身体を覆うようにかける。
そしてくしゃりと頭を撫でる。
「今日はありがとうな。桃音」
「……」
当然返事はない。寝ているのだから、仕方ない。
「おやすみ桃音」
俺はまた寝るために、自室へと向かう。その時ふと、小さく「おやすみ」と聞こえた気がした。
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