第八話 2人の絆

「おーい、カイト!今日はなにする?」


「トウヤがしたいやつでいいよ、今日は」


「え、明日何やらされるの?」


「明日のお楽しみだ!それは!」


 とある高校のある日。2人はいつも一緒だった。登校、昼ご飯、補習、放課後、下校。何をするにも一緒だった。お互いに切磋琢磨し、青春を謳歌していた。


 そんな毎日が続いていたある日、ある出来事でその関係は壊れてしまった。それはとても、醜い話。あんなに仲の良い2人に一体何があったのだろうか。




「で、カイト。今日はなにすんの?」

  ちょっと緊張した面持ちだが、好奇心を隠せない様子のカイト。


「きょーはですね!あの!洋館に行こうと思いまーす!準備もバッチリだから安心しろよ!」

  楽しみな気持ちを包み隠さずに、言葉に表現するカイト。


「え、あの洋館?呪われた豪邸って言われてるやつだろ?」

  トウヤは、予想外の言葉に少し戸惑っている。


「そー!行ってみたかったんだよなー」

  長年の夢がやっと叶うことに感動しているのか、その声は歓喜に溢れている。


「仕方ない、今日はお前のやりたい事をやってあげるって約束しちゃったからな」

  トウヤは言葉では仕方ないと言いつつも、行きたい気持ちで一杯だ。


「じゃ、夜になったら行こうか!」


 こうして、2人は呪われた豪邸こと、洋館に行くことになった・・・


 夜8時、辺りは暗闇に包まれていた。その日も満月だった・・・


   ギィィ


「失礼しまーーす!」


 不気味なドアの開く音を掻き消すかのようなトウヤの声。


 洋館はとても静かで、空気はひんやりとしている。時折風が静かに吹いてドアが動き、不気味な音が響いている。


「トウヤ、うるせぇよ。他人の家にお邪魔してるんだから、もっと静かに入れよ」

  少し場違いなカイトの指摘に、トウヤは笑う。


「やっぱ、カイトは最高だわ!俺たち、ずっと親友でいよーな!」


 そんな事を言いながら2人は玄関を抜け、ホールのような場所に着いた。そこには階段が右、左、真ん中の三方向にある。2人がいる場所からは、階段の先を確認することはできない。


「どうする?どこから行く?」

  とカイト。


「右からにしない?なんとなくさ」

  直感で決めたのか、決断が速いトウヤ。


「りょーかいだぜ!」


 トウヤの判断によって、右側から行くことになった2人。階段を上がる足音がホールに木霊している。


 廊下があり、部屋へと続く扉がいくつかある。それぞれ、書斎やら子供部屋などがあり、すべてが腐り、ボロボロになっているが、昔はとてもゴージャスだったことだろう。


 特に不可思議なことは起きず、ただの古びた洋館がそこにはあった。


 右側を見回り終わった2人は、最初のホールに戻った。そして、次は真ん中の階段を上がっていった。

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