第五話 待ち受ける運命

 〜〜二階〜〜


「いやー、意外と怖くて驚いたなぁ」

  タケルの声が響く。


「えぇー、怖いのー?意外だなぁ」

  アスカが反応し、また声が響く。


「いや、誰だって怖がるものじゃない?」

「そういうタイプだったんだー!いがーい!」


 そう会話をしながら、1番右側から一部屋ずつ確認をしている。見たところ、なにも異常はなさそうだ。使い古された、ボロボロの黒板。乱雑に置かれた机と椅子。床にはホコリが溜まっていて、3人動く度に舞い上がっている。


 ところどころ床がギシギシ鳴り、もう抜けそうである。柱はシロアリに喰われたのか、ボロボロで空洞になっているのか見えているところもある。


「蜘蛛の巣がうざいな」

  そう言いながら、蜘蛛の巣を払い除けているカイト。至る所に蜘蛛の巣が張ってあり、大きな蜘蛛までもいる。


 3人がとある教室に入った時、今までの教室とはまったく雰囲気の違うのを感じた。それは大きなピアノがあるからだろうか。少なくとも、それだけではなさそうだ。


 ピアノは教室の前側にあった。窓から差し込む月明かりに照らされて、幻想的な風景になっている。懐中電灯も要らないぐらいに明るい。


「ここって音楽室?」

「だろうな」

   エマの問いかけにタケルが懐中電灯の灯りを消しながら答える。


 コツ コツ コツ コツ


 音楽室だからだろうか、足音や声がより一層響いている。


「お化け屋敷の定番、肖像画が勝手に動いたり、ピアノが勝手に鳴ったりするのかな?」

  アスカは楽しそうだ。そして、肖像画探しに夢中になっている。それに便乗して、タケルまでもが探し始めた。


「おい、冗談じゃ、済まないからな」

  カイトが抗議するように言う。その顔は真剣そのものだった。場が微妙な空気になり、アスカが空気を和ませようとした時。


  ターン


「なんの音⁉︎」

  アスカが声を上げる。しばらく、音楽室を見回していたアスカとタケルだったが、何かに気づいたのかすぐに安堵のため息をついた。


「もう、カイトったら脅かさないでよー!本気でビックリしたよ!もう・・・」

  アスカがカイトを咎める。


「いや、俺やってないけど・・・」


「そうやって、嘘つくのよくないと思うぞ!」

  アスカとタケルによって、ピアノの近くにいたカイトが真っ先に犯人にされた。


 しかし、2人は気付かない。ピアノには、誰も触れておらず、カイトが鳴った瞬間を見たことに。


 そう、カイトは見たのだ。誰も触れていないのに勝手に動く、ピアノの鍵盤を・・・

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