第三話 放課後の約束

 教室の一か所に集まり、話をしているエマ、アスカ、マコト、カイト、タケルの5人。タケルが乱入したことに驚かないことから、いつもこの5人で残って喋っていることを伺える。


「廃校舎かぁ。行方不明者がでたとか、電気がついてたとか聞いたことあるな」

  カイトが言う。


「あー、俺この間見たよ。廃校舎から煙がモクモクって出てるの。すごい濃くて、なんかそれを見た途端、背筋が寒くなったんだよね。信じてなかったけど、あれ見ちゃったからなぁ」

  マコトの話を聞いた、エマは笑いながら言った。


「どーせ、誰かがタバコ吸ってたとかでしょ!お化けなんて出ない、出ない!」


「へぇー、面白そうだねー!ねぇ、いいこと思いついた!みんなで行ってみない?夏の思い出に、肝試しも含めてさ!」


 アスカの提案にエマ、タケル、マコトの3人は乗り気だ。ただ1人、カイトだけが難色を示した。


「えっ、行くのか?」


「なに、ビビってんの?あ、じゃあカイトだけ行かない?」


 タケルが挑発するようなことを言うと、カイトはむっとして、言葉を返した。


「はいはい、行きますよ。行けばいいんだろ?あぁー、もぅ・・・」


「もちろん、マコト君も来てくれるよね?私の心強い味方だもんねっ!」

  エマが上目遣いで言う。


「もう、行くことが決定事項なんだろう。まったく・・・」


「心強い味方とか言われたら、断ることなんてできないねぇ」


 タケルのニヤニヤした笑みを見たマコトは、大きなため息を吐いた。


 しかし、なんだかんだ言いながら、マコトも行くことが決定した。エマの上目遣いがだいぶ効いたようだ。


 アスカは、話がひと段落したところを見計らって話し始めた。


「じゃあ、いつにする?夜のほうが雰囲気も出るだろうし、いいと思うんだけど・・・」


「夜ならいつでも大丈夫かな」

「あー、部活あるからお盆くらいがいいな、そしたら、たくさん遊べるし」

「何日でも、いいけど・・・」

「お盆?お盆は静岡に行くから、15日、16日は絶対に無理だぞ」

 それぞれ、予定を言っていく。


「それなら・・・8月の13日はどう?」


「おう!いいぜ」

「おっけー!」

「平気だぞ」


「夜と言っても何時くらいがいいんだろう?」

  エマの質問に一同考える。


「8時は?それならもう、真っ暗じゃない?そしたら、いい感じになるでしょ!」


「いいと思う」

「うんうん」

「じゃ、決まりだな」


「では、8月13日の夜8時で!あ、いつもの公園集合でいいかな?」


「いいんじゃない」

「りょーかい!」

「楽しみだなー」


 3人が返事をしているが、カイトだけは心ここにあらず、というような様子だったが、興奮し、来たる日に向けてそれぞれの思いを馳せていた4人は、そのカイトの様子に気付いた人はいなかった・・・

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