第3話 私はあなたの翼


「練習試合……ですか?」

「あぁ、先方から連絡があってな。私は断るつもりだったんだが、学長がえらく乗り気でな」


 榛奈に呼ばれたアーガスは、校内のカフェテラスで練習試合の話を聞いた。


「確か学長先生は戦闘機マニアでしたっけ」

「あぁ。それでだな。今の状態で戦えるか?」


 榛奈には気がかりがあった。それは、導入したばかりの新機体。榛奈の私見では手に負えない機体と認識している。


「……分かりません。たぶんナガトをコクピットに乗せたら起動するでしょう。ナプラスはそれを望んでいますから」

「だがそれは一番難しい問題だな。はぁ………」


 長戸の閉ざした心は簡単には開けない。ましてやそれは、他人が無理やり開くものではない。


「とは言え、泣き寝入りは出来んよ。練習試合は二日後だ。それまでに何とかしたまえ。これは先輩命令だ」

「それはもちろん。善処はします。でもどうやって…?」

「簡単なことだ。奴とは意思疎通が出来るのだろう? ならば説得するしかあるまい」

「説得……」

「無理やりプログラムを書き換えることだけはしたくないからな」


 榛奈は立ち上がり、ハンガーにかけてあった白衣を纏った。


「すまないが私は5年生の卒研に行かなくてはならんのでな。先に失礼するよ」


 アーガスは頷いて返し、去っていく榛奈の背中を眺めた。


「はぁ……」


 飲みかけのアイスティーをストローで混ぜる。からんっと氷がぶつかる音がした。


「一途すぎるよ、アキノ。ふふっ」


 もう会うことはできない親友の色恋沙汰に巻き込まれていることが、少しだけ嬉しく感じた。


◆◇◆


 格納庫内の空気は忙しない。明日に迫った練習試合の準備のためだ。会場はこの学校に設置するため、依頼書や場所の使用許可証を出し、その設置を行っている。


「大丈夫かなぁ……」


 一人やることの無くなった卯月が、〔トムキャット〕の隣の梯子に腰かけて呟いた。

未だに機体は起動していない。つまり、和馬は操縦をしたことがないのである。そんな状態で練習試合に臨めば結果は分かり切っている。

 卯月はあることを思いつきコクピットに腰を下ろした。キーボードで『I want to talk,Nα+』と打ち込む。二秒と経たずに、ディスプレイに返事が映る。


『Confirmed. I can recognize your by voice.(了解です。私はあなたを声でも認識できます。)』

「分かったわ、ナプラス。私は八代卯月。このチームのウェポン担当。あ、日本語でも理解できるのかな?」

『I understand. Uzuki. What are the requirements? (理解できます。卯月。あなたの要件は何でしょうか?)』

「あなたはどうして長戸君にこだわるの? 彼以外があなたの主ではいけないの?」


 これさえ解決できれば問題はない。卯月は何とかして説得しようと思い立ったのだ。


『I have to keep my promise. That is my mum's desire. I have heard from Argus about your situation and am aware of it.(私は約束を守らなければなりません。それがマムの願いです。アーガスからあなた方の状況について聞き、承知しています。)』

「だったら何故? あなたは長戸君にこだわるの?」

『Other than that, there was room for compromise. However, I cannot give up on my Lord.(他のことならば、妥協の余地はありました。ですが、我が主様のことに関しては、譲ることは出来ません。)』

「それはあなたが、そうプログラムされているから………」


 卯月は言うつもりのなかったことを口に出した。思わず手で口を覆った。

 ナプラスの返答は早かった。


『No. This is my only hope.』

「………あ」


 私のたった一つの望み。ただの人工知能が望みを持っていた。それが卯月には信じられなかった。同時に、尊いものだと思った。


「ナプラス……あなたは一途、なのね」

『What is Itizu?(一途とは何ですか?)』


 ナプラスの返答に卯月は思わず笑みが零れる。


「あなたのような誰かを思い続ける人のことだよ」

『understood. I will remember it.(理解しました。記憶しておきます。)』

「約束するわ。何としても長戸君をここに連れてくる。だから、もう少しだけ待っていて」

『Thank you, Uzuki. I'm happy to think that I can meet the Lord soon.(ありがとう、卯月。もうすぐ主様に会えると思うと、嬉しいですね。)』

「えぇ。私、もう行くね」

『Goodbye. Uzuki』


 返答を見てからコクピットから出る。梯子を降りると、頬を膨らませた志乃がいた。


「え? どしたのしーちゃん」

「べつにー。ただ、私もナプラスと話そうと思っていたので、先越されたなぁと思っただけです」


 思わず卯月は志乃に抱き付いた。


「しーちゃん可愛すぎ‼」

「ちょっ、なんですか⁉」


 卯月の奇行に志乃は素っ頓狂な声が出た。


「長戸君を連れてくるのはしーちゃんに任せるよ」

「え?」

「長戸君だって私の話よりもしーちゃんの話の方が聞いてくれると思うよ」


 それは卯月なりの気遣いだ。


「……何とかやってみます」

「うん、よろしくね」


 志乃は早速長戸に電話をかけ始めた。

 卯月は志乃から離れてパソコンの前の椅子に腰を下ろす。すると、準備を終えた新と風早が戻ってきた。


「お疲れ様、二人とも」

「まったくだ。機体もろくに動かないのに練習試合なんか出来るかってんだ」

「まぁまぁ、先輩。そうボヤかないで下さいよ。最悪〔パイパーゼロ〕を使えばいいじゃないですか」

「おぉ! それは妙案だな。よしっ。なら俺らでもしもの時のために整備をしておこうぜ」

「了解しました。お供します、先輩」


 二人は意気高々に〔バイパーゼロ〕の格納庫に向かった。


「あ、ちょっと待って。二人とも」


 そんな二人を卯月が呼び止める


「ん?」

「衣笠君知らない? 今日は何とかして〔トムキャット〕を動かすって意気込んでたんだけど、まだ見てなくて」

「あいつなら買い出しに行ったぞ」

「買い出し? 何の?」

「俺ら整備班のコーヒーブレイク用のドリンクだ」


 風早はどや顔で言うが、卯月は呆れ顔を浮かべるしかなかった。


「ただのパシリじゃん」

「その分準備はしなくてもいいって約束してんだ」

「あ、そう……」

「じゃあ行ってくるわ」

「うん、頼むわね。武装関係になったら私を呼んでね」

「あいよ」


 風早は背を向けて手を振った。新と並んで第二格納庫へ歩いていく。


「先輩、後輩の目の前でイチャつくのはどうかと思いますよ」

「はぁ? い、イチャついてなんかねぇよ」

「いやいや、ずっと先輩の顔ニヤニヤしてましたよ」

「ま、マジ?」


 冗談だよな?と言わんばかりの顔で風早は新を見つめる。しかし新は真面目な顔でこう答えた。


「マジです」

「マジか~。俺ってそんな顔に出やすかったかなぁ……」

「僕はちゃんと先輩のこと応援してますからね」

「ん……さんきゅーな」


◆◇◆


「は? AIが俺を探してる……?」

「えぇ」


 長戸はアーガスにカフェテラス呼び出され、〔トムキャット〕の現状を知った。機体内蔵AIが長戸を探し、長戸以外には機体を触らせないようにしていると。


「……それはあき姉がそうしたのか」

「きっと」

「そうか」


 長戸は沈黙を避けるように注文した珈琲に口をつけた。


「私は説得してみたのよ。何とかあなた以外を主と認めてもらえるように。けど……」


 俯き、目を逸らしたアーガスを見て、長戸は概ね把握した。


「無理だった……と」

「えぇ。思ったよりも強情な人工知能だった」

「………」


 ミルクが混ざった珈琲が描く波を見つめる。思い出すのは意地っ張りな秋乃の記憶と想い出。


「機械も、生みの親に似るんだな」


 それはただの独り言でしかない。死者へ思いを馳せるだけのこと。


「お願い、あなたから説得してほしい。せっかくの機体を動かない置物にすることは出来ない。練習試合はもう明日なの……」

「…………」


 長戸には何も答えることは出来ない。


「なぜ黙るの?」

「……悪い」


 その一言にアーガスは全てを読み取ることが出来た。それ程までに長戸の表情が伝えていた。もう、やめてくれ。と。


「ごめんなさい。あなたを苦しめるつもりはないの」


 人にはそれぞれの感情を持っている。だから、自らの感情を他者へ押し付けることはしてはならない。だからアーガスはこれ以上頼むことはしなかった。触れたくないのならば、触れなくてもいい。そう思って。

 その時、長戸のスマホが鳴った。


「悪い」


 一言入れて電話に出る。相手は志乃だった。


「もしもし」

『長戸、大変です。衣笠君が……』


 電話越しでも分かるほどに志乃は動揺しており、荒い息遣いも伝わった。


「和馬がどうかしたのか?」

『事故に遭ったみたいなんです。詳しいことは分からないんですが、すぐそこの病院に救急車で運ばれたって』

「……分かった。今から行くんだろ? 俺も一緒に行く」

『分かりました。私は正面玄関にいますので』

「すぐ行く」


 電話を切った後、カップに半分ほど残った珈琲を一気に飲み干した。


「悪いけど今から病院に行ってくる」

「何があったの?」

「うちの部のパイロットが事故にあったらしい」

「そんな……」

「じゃあ俺は行くから」

「えぇ」


 椅子に掛けていた上着を取り、駆け足で正面玄関に向かった。カフェテラスから正面玄関までは棟を四つ越えなければならない。カフェテラスは海側にあるのに対し、正面玄関は内陸側にあるからだ。放課後の学内は部活やサークル活動に勤しむ生徒で賑わっている。地形工学科棟を越え、化学工学科棟を抜ける。

 すると開けた場所に出た。ここが正門だ。


「あ、長戸」

「待たせた」

「いいえ。タクシーを呼んでありますから、それで行きましょう」

 長戸は辺りを見渡した。

「他のみんなは?」

「病院にあまり大勢で行くのも悪いと言って、私と長戸で行ってきてくれって」

「そうか」


 きっとみんな心配しているだろう。それなのに、病院に行くのを長戸に譲ったのは気遣いだ。長戸と和馬の関係は決して良好とは言えない。和馬は長戸のことを親の仇の様に憎んでいる。それでも長戸からすれば和馬は中学時代のライバルなのだ。ある種の友人とも言える。それをみんな知っているから長戸に譲ったのだ。


「来たみたいです」


 黒塗りのミニバンが正門前に停まった。長戸と志乃はそれに乗り込んだ。

急ぐ気持ちを置き去りに、タクシーは法定速度を守って病院へと走った。


◆◇◆


 病室に入ると、ベッドに腰を下ろした和馬がいた。


「衣笠君……その、大丈夫ですか?」


 志乃は何かに気を遣うように慎重に言葉を選んでいた。その理由は長戸にも分かった。

和馬の右腕には、ギプスが巻かれていた。


「……大丈夫なように見えるか?」


 見えるわけなどない。だからと言って、他の第一声を見つけられなかったのだろう。


「和馬。痛むか?」


 だから、これが精一杯。これ以上は踏み込めない。特に、感情の方には。


「いや、痛みはあまりない。動かしづらいのが難点だ」


 それはきっと本当のことだろう。


「なぁ、鈴谷」

「なんだ?」


 和馬の顔にはどこか諦めがあった。そして、それを人は絶望と呼ぶ。


「もう俺はあいつに乗れないんだな」


 あいつって?

そんなことを聞くのは野暮だ。


「治るまでどれくらいかかるんだ?」

「完治まで一月。それから元通り動かせるようになるまで一月」


 今は4月。大会は6月から。


「まだ間に合うじゃないか」

「ふざけているのか? その二か月間はまともに練習すら出来ない。そんな奴が機体を操って勝てるとでも思っているのか?」

「それは……」


 そんなこと、出来ないのは長戸自身が一番よく知っている。


「嫌な……話だ」


 和馬はもう諦めている。自分の夢を。


「なぁ、明日さ。練習試合なんだろ?」

「あぁ」


 練習試合ならまだなんとでもなる。最悪、中止にしたっていい。まだ前日だから。


「俺は、鈴谷、お前が嫌いだ。俺よりも遥かに実力を持っているくせに、なに告げずに部を去ったことが許せない」


 それはこの2年間、和馬が長戸にとして抱いてきた思い。


「衣笠君、それは長戸にも事情が……」


 擁護しようとする志乃を長戸は止めた。そのまま黙って和馬の言葉を受け止める。


「俺はお前が嫌いだ」

「……」


 そう思われても仕方がない。


「でも、このまま棄権するつもりなんかない。俺たちは入部したときに誓っただろ? このチームで優勝すると」


(あぁ、確かにそう誓った)

でもその誓いを果たすことを最初に放棄したのは長戸だ。


「嫌いなお前にしか頼めない。お前なら、俺の代わりが務まる。もしかしたら、俺以上の結果を残せるかもしれない」


 和馬はハンガーにかけられていた部の名前が入ったジャケットを左腕で引っ張り、長戸に差し出した。


「和馬……」

「鈴谷長戸。俺はお前に託す。俺自身の願いをじゃない。チームの勝利を託す」

「っ……」


(俺は……俺に、出来るのだろうか)


「何度も言うが、俺はお前が嫌いだ。逃げてばかりのお前が嫌いだ。だけどな、お前の気持ちもよく分かるんだ。大切な人を思い出して、苦しいのはよく分かる」


 和馬がそんなことを言うとは、長戸だけでなく、志乃にも驚きのことだった。


「………」

「だけどな、今回だけは逃げるな。あの機体には想いが詰まってるんだ。お前に、お前だけに届けたかった、造った奴の想いが詰まってる」

「和馬………俺は……」


 無理だ。そう言いそうになった。

長戸はその口を右手で覆う。

(あき姉が……そんなに、俺のことを想ってくれていたなんて……)

 溢れそうになる贖罪の気持ちと歓喜の心。


「長戸……」


 志乃は長戸の右手を取り、両手包み込んだ。


「強制はしません。だって、長戸の決断を秋乃姉さんが否定するはずないですから」

「志乃……」


 その目に長戸は決めた。決めることが出来た。

秋乃と同じ色の目に。


「和馬。俺にお前の代わりが務まるかは分からない」


 志乃の手から右手が離れた。その右手は和馬の左手に握られたそれに近付いていく。


「俺が、お前の想いも背負って飛ぶ」


 そして、和馬の左手からジャケットを受け取った。


「あぁ、頼んだぞ。長戸」


 和馬が長戸を下の名で呼んだのはいつぶりだろうか。そう志乃は笑いながら思った。

友だちに戻れる日も近いだろうと。


◆◇◆


 夜の格納庫は静かだ。人の気配がしない。不気味な空間。

そこに長戸はいた。コクピットを開き、シートに腰を下ろす。

ある程度のことはここに来るまでに志乃から聞いた。志乃は格納庫の隅で様子を眺める。


『Who are you?』


 長戸の存在に気が付いたナプラスは自らシステムを立ち上げ、ディスプレイに表示した。


『Nagato Suzutani』


 長戸はそれだけをキーボードに打ち込んだ。

ナプラスからの返事はなく、ただカメラのレンズが動く音がした。


『やっと会うことが出来ました。あるじ


 発した声は英語ではなかった。そして、その声は懐かしい。

ずっと聞きたかった声だ。


「……あぁ。待たせて、悪かったな」


 ナプラスの声に驚きが溢れたが、それを出来るだけ隠して答えた。


『この場所にあの人と共に訪れたかった。そして、主に会いたかった』


(なぜだろうか。感情を投げられた)

 ただの人工知能だ。それなのに、長戸は人工知能に共感を抱いた。


「あぁ。俺もあき姉に会いたいよ」

『ですが、マムは私に多くのことを教えてくれたのです。夢のこと、空のこと、飛行機のこと、自分の妹のこと。そして、あなたのこと』

「そうか……」


(あき姉はどんな気持ちでこの機体を作ったんだろうか)

 長戸は今はもう知ることの出来ない真実に想いを馳せた。


『私は主と出会ったこの瞬間から、あなたの翼です。そう約束したのです。だから、主はご自分のために私を使って下さい』

「ナプラス」

『何でしょうか?』


 自分でもクサいセリフだと分かっている。それをAIに話すのは痛々しいかもしれない。

それでも、それが自分の望みだ。


「俺は君を自分の為には使わない」

『……』


 ナプラスは理解不能とでも言いたげに黙り込んだ。


「俺はチームのために君を使う。このチームで勝つために、君の力を貸してくれ」

『意外でした。クサいセリフもお言いになるのですね』

「うっ…」


 まさかそんなことを言われるとは思っていなかった。


『心配しないで下さい、主。私は既にあなたの物です。ですから、あなたの望みならばどのような物であろうと尊重します。そう、私のCPUが告げています』


 AIなりの冗談なのかもしれない。


「ありがとう」


 長戸はナプラスを撫でるかのように、操縦桿に触れた。


『操縦桿の隣のディスプレイに手を置いてくださいますか?』

「ん? あぁ、了解」


 長戸が手を置くと、前回と同じ様に緑色のライトが上へと昇ってきた。


『あなたの情報を私のメモリーに記憶させました。これで私はあなた以外の命令は聞きません。そして、あなた以外の操縦も受け付けません』

「堅いガードだな」

『はい。これで私は正真正銘あなたの物です』


 その声でそんなセリフを言われると、長戸は戸惑うのだ。

そんな様子をレンズ越しに読み取ったナプラスが疑問を投げる。


『どうかなさいましたか?』

「いや、似ているんだ。君の声が俺の好きだった人に」

『………。申し訳ありません。不快な思いをさせてしまいました』

「いや、構わない。不快なんて思わないから」


 不快どころか、長戸は嬉しささえ感じているのだ。

久々に聞いた秋乃の声に。


『そうですか。なら良かったです』


 長戸はそわそわしながら操縦桿を握ったり、離したりを繰り返した。


『ふふっ、早く飛びたいみたいですね』

「心を読むなよ」


 自分でも気づいていない自分をAIに指摘されるのは照れくさいのだ。


『残念ですが明日まで我慢して下さいね。明日は練習試合です』

「俺に君を操りきれるだろうか?」

『問題ありません。私はあなたの為に作られたトムキャットです。主以外では逆に操りきれません』


 それが本心なのか、気持ちを盛り立たせようとした嘘なのかは分からない。けれど、その言葉が心強いと思ったのは事実だ。


「主呼びはやめてくれないか?」

『……ではなんとお呼びすれば?』

「長戸でいい」

『了解いたしました、長戸』


 秋乃の声が長戸の心を揺さぶる。闘争心を掻き立てる。

忘れていた夢を再燃させるのだ。


「明日が楽しみだ」

『はい、私もです』


 ナプラスに夜の挨拶を告げてコクピットを降りた。そこに志乃は駆け寄る。


「どうでした?」

「うん、大丈夫。明日が楽しみだ」


 その言葉に志乃は笑う。そして、長戸の手を握る。


「私はずっと応援していますからね、長戸」

「ありがとう、志乃」


 夜は更ける。そして、明日の戦いが迫るのだ。





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