町の生活
アデラに対しては町の人々はどう接していいか分からなかったが、カースの活躍があってから、アデラに対してもカースの師匠ということで尊敬され始めていた。
カースはアデラとラーナをつれて町の公園を歩く。
今日はラーナがお弁当を作ってくれていた。
芝生に直接腰を下ろして、お弁当を食べる。
こうして3人でいると、なにかそれが当たり前のことのように思えてくる。
6歳くらいの女の子が花の冠を作ってくれて3人に渡してくれる。
ありがとうと言って受け取る。
近くにいた母親が近くに寄ってくる。
「私の息子の敵を取ってくれてありがとうございます」それだけを言うと嗚咽でなにも話せなくなった。おそらく、魔人に襲われた子どもの母親なのだろう。
返す言葉もなく、ただ、いつまでこんな生活が続くのかとそう思った。
「アデラ様、魔王と戦うと言ったら許してくれますか」
「何を今更、カースが斬ったのは魔王の使者だ、もう戦いは始まっている」
「そう、ですか、アデラ様はどうするのですか?」
「私も戦うしかないな、お父様と」
「はい」
お弁当を食べ終わった3人は、唯一の商店街を歩く。
金物店、食料店、武具店、洋服店など10軒ほどの商店がある。
町は一応貨幣経済が成り立っていたが、物々交換のほうが喜ばれた。
カースが魔人を斬ったことにより、その剣には持主に、斬った魔人の魔力の一部が付与される。そのため、カースの剣は、武具店に持っていけば信じられないくらいの高値で買い取ってくれるだろう。
ただ、もちろんカースはそんなことはしない。10匹の魔人を斬り魔剣士になるのが今の夢だ。
魔人を倒したことで、町からボーナスが支給されており、カースの懐は頼もしかった。
女の子用のアクセサリーが並んだお店に行く。こういう趣味の品物は高い。
ラーナは何もいらないよというような仕草をしていたが、品物を見て回るうちに目がキラキラとしていた。
結局、ラーナとアデラのために、髪留めを買ってあげた。貝殻でできたもので淡い青色をしており、きれいだ。
ラーナは宝物をもらったかのような嬉しそうな顔をしている。
アデラも気に入ったのか、ありがとうと伝えてきた。
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