杉ちゃんと桐箪笥

増田朋美

杉ちゃんと桐箪笥

杉ちゃんと桐箪笥

今日も又暑い日であったが、以前ほど暑さを感じなくなった。いわゆるべたべたっとした、蒸し暑さではなく、からっとした暑さで、風もさわやかだった。もうスイカをたべるよりも梨をたべた方が、おいしいのではないかと、言われる季節になった。いわゆる晩夏というやつか。日本の夏は、どうしてこういう風に細かく分けられるんだろう。

その日、杉ちゃんと蘭は買い物から帰ってきて、いつも通り杉ちゃんがお昼をつくって、蘭は新聞を眺めながら、それが出来上がるのを待っていた。杉ちゃんが、もうすぐ卵焼きができるからな、と言って、フライパンに入った卵をひっくり返していると、蘭のスマートフォンがなった。

「はいもしもし、伊能ですが。」

蘭が電話アプリを開いて、それに応答すると、

「あの、彫たつ先生でいらっしゃいますか?あの、以前、背中に薔薇の花を入れてもらった、中島です。あの、中島佳代子です。覚えてらっしゃいますか?」

と、若い女性の声が聞こえてきた。その声には聞き覚えがあった。確か、半年くらい前に、彼女の背中に赤い薔薇を入れた覚えがある。中島佳代子。

「はい、覚えておりますよ。中島佳代子さん。確か、ご主人が脱サラして、桐箪笥職人になったとおっしゃっていましたね。ご主人の名前は、えーと確か、」

蘭がそう言いかけると佳代子は、

「はい、中島慶一郎と申します。長い名前だから、覚えにくい名前のご主人ですねと先生はおっしゃっておられました。」

と苦笑いしながら答えた。

「そうでしたそうでした。中島慶一郎さん。その慶一郎さんがどうかしたんですか?もしかして、何か、体調でもわるくされたとか?」

と、蘭が言うと、

「いえいえ、そういうことじゃありません。先生、近いうちに開いている日はございませんか?ろくでもない職人の家ですけど、精いっぱいおもてなしさせていただきます。」

と、彼女は言った。

「ああ、そうですか。何かあったんですか?」

蘭がそう聞くと、

「ええ、主人の桐箪笥第一号が完成したんです。だから、それを先生に見ていただきたくて。それで、近いうちに私たちの家に来てもらえませんか。」

と、佳代子さんはいうのだった。なるほど、完成をお披露目したいのかと蘭は思った。確かに、職人というのは、完成したものを見てもらいたいという気持ちになるのは、どの職人でも同じだろう。

「わかりました。明日の三時ごろでどうでしょうか。明日は、十二時から二時間突いて、仕事は終わりなので。」

と蘭が言うと、

「まあ、ありがとうございます!主人も喜ぶと思いますよ。」

と彼女はとても喜んでいるようであった。

「はい、そうですね。それでは明日の三時にはお宅へ着くようにしますから。お宅はたしか、えーと。」

「はい、富士市の須津というところです。当日は、須津駅に来てくだされば、須津駅までお迎えに上がります。」

と彼女は即答した。

「わかりました。それでは、タクシーで伺いますから、よろしくお願いします。」

と、蘭は言う。そのやり取りをしている間に、杉ちゃんの卵焼きは完成していた。杉ちゃんは、蘭の前に、卵焼きの皿を置いた。

「よろしくお願いします。じゃあ、明日の午後三時にお宅へ伺いますので。」

と、蘭はそういって電話を切った。杉ちゃんがどうしたのと聞くと、

「あの、以前、僕が以前刺青を施術した女性からだよ。彼女のご主人、脱サラして、桐箪笥をつくる職人になったというが、その桐箪笥第一号が完成したから見に来いってさ。まあ、作品の自慢話をしたいのは、職人であれば、だれでもしたいよな。」

と蘭は言った。

「ああなるほどね。じゃあ、僕も行ってもいいかなあ。桐箪笥なんて、面白いからちょっと興味が出てきちゃった。」

杉ちゃんがそういうことを言うので、蘭は、じゃあ一緒に行こうと言った。すぐにタクシー会社に電話をして、一台ワゴンタイプのタクシーを予約することができた。

翌日。約束通り、杉ちゃんと蘭は、予約していたタクシーに乗って、岳南鉄道の須津駅へ乗せて行ってもらう。須津駅のタクシー乗り場で下ろしてもらって数分後、大きなワゴン車がやってきた。中には、中島佳代子さんが乗っていたので、佳代子さんのワゴン車だとすぐにわかった。蘭たちが頭を下げると、佳代子さんは、二人の前で停車した。

「こんにちは先生。こちらの方はどなたなんですか?」

と佳代子さんが聞くと、

「ああ、僕はね、蘭の大親友で影山杉三。杉ちゃんって呼んでね。」

と、杉ちゃんが言う。佳代子さんははい、よろしくねと明るく言って、二人を手早くワゴン車の中に乗せた。

「あの。」

と蘭が言った。エンジンをかけながら、佳代子さんは、何でしょうか?と答えると、

「いやあ、ずいぶん慣れているようでしたので、何だろうと思ったんですよ。普通、こういう障碍者を車に乗せるのは、一般のひとじゃ慣れてないでしょ。たとえばタクシーの運転手だとか、介護業界で働いていたとか、そういうことを、経験されたことはあったんでしょうか?」

と蘭は聞いた。そういえばそうだなと杉ちゃんも言った。

「それにこんな大きなワゴン車を持っているというのも気になる。なんで、こんな立派な車を持っているの?職人として材木を運ぶんだったら、トラックで運ぶよな?」

杉ちゃんにそういわれて、佳代子さんはちょっと恥ずかしそうな顔をして、

「ええ、実は、一寸特殊な病気の息子がうちにいるものですから、それで、介護するために、こういう大きな車を持っているんです。」

と答えを出した。蘭は、ああなるほどと言った。杉ちゃんのほうは何も気にしない顔をして、

「そうかそうか。まあ、それならそれでいいじゃないか。そういうことは、甲乙つけることはないからな。其れなら、事実だと受け止めて、その通りにすればいいさ。」

というのである。一瞬、言葉が止まった。佳代子さんは運転しながら、一寸涙をこぼしたようである。でも、すぐに左手で、顔を拭き、そうよねとだけ言った。蘭は、それを一寸彼女がかわいそうなのではないかと思ったが、彼女は、すぐに立ち直ってくれたようである。

「さて、もう家に着きますよ。」

という彼女は、そういった。あれ、前に彼女を施術した時、彼女は駅から遠いところに住んでいると言っていたがと蘭は思ったが、

「ええ、主人が工房を開いたので前に住んでいたマンションはやめて、一戸建ての家に引っ越したんです。以前、主人が師事していた職人さんが、中古だけど、手ごろな家を見つけてきてくれたんですよ。」

と、佳代子さんは言った。

「本当は違うだろ?息子さんのために引っ越したんじゃないの?息子さんを電車に乗せて病院に通わせるために。」

と、杉ちゃんが言った。佳代子さんは答えなかった。蘭は、杉ちゃんちょっと言いすぎだと杉ちゃんを制したが、杉ちゃんは、カラカラと笑っていた。

「はい、到着ですよ。いま、お二人を下ろしますから、ちょっと待っててください。」

と、ある平屋建ての小さな家の前で、佳代子さんは車を止めた。そして手早く車から降りて、二人を下ろしてくれた。はいどうぞ、と引き戸式の玄関を開けて、二人を中へ入れる。

「では、その素敵な桐箪笥を拝見させてもらうぜ。」

と杉ちゃんと蘭は、佳代子さんと一緒に、慶一郎さんの仕事場に行った。

「これ何ですけどね。うちの主人が作った、桐箪笥第一号です。どうでしょうか。なんでも批評をしてください。」

佳代子さんは、大きな桐箪笥を指さした。

「へえすごいじゃないか、収納スペースがたくさんあるな。これで何枚の着物がしまえるかなあ。」

と、杉ちゃんが言う。蘭ははあとため息をついた。確かに立派な桐箪笥である。之であれば確かに大きな引き出しで、大きなサイズのものでも入れることができるだろう。でもどこかに、一寸違っているものがある。この桐箪笥は、着物を入れるための桐箪笥で、洋服を入れるための桐箪笥ではない。

「いや、よくできているぞ。すごいな。僕の黒大島もたくさんしまえるな。僕なんて着物をハンガーにぶら下げたままだったからな。それをしまえたらいいなあ。」

と、杉ちゃんが絶賛の言葉を述べた。

「じゃあ、あの、影山さんでしたっけ?これをかっていただけないでしょうか?」

と、佳代子は、そう切り出した。

「なるほど、僕たちをここへ呼び出したのは、そういうためだったのか。」

と杉ちゃんが言った。佳代子さんは小さくなって、ゆっくり頷く。

「それはなんでだ?」

と杉ちゃんがまた聞いた。杉ちゃんに理由を聞かれると、相手はちゃんと理由を話すまで聞き続けられることになってしまう。

「ちゃんと言ってくれ。僕はかくしたままにするのは、一番いやのでね。」

「ええ、息子の補助具とかそういうものが必要でお金が必要になって、それで主人に頼んで桐箪笥をつくってもらいました。」

と、佳代子さんは正直に答えた。確かに、障碍者が新たな補助具、例えば車いすとか、つえとかそういうものを買うにはお金がかかる。それで佳代子さんはこの計画を思いついたのだろう。

「そういうわけだったのね。それで箪笥を売ろうと思ったわけね。まあ、幸い、僕のうちは、着物をしまう場所はちゃんとありますからね。いまのところ、桐箪笥を新しく置くスペースはありません。蘭、お前さんの家はどうだ?」

杉ちゃんが聞くと蘭も正直に、

「そうだねえ。僕のうちも桐箪笥はすでに置いてあるので間に合っているし。」

と杉ちゃんに続いて答えた。そうすると佳代子さんはいやそうな顔をする。

「まあ、僕たちはきもので生活してるから、着物をしまうスペースというものは必要になるが、僕たちは今のところ間に合っています。」

と、杉ちゃんが言うと、

「誰か、着物をよく着られる方はおられませんか、、、。」

と、佳代子さんは落胆するように言った。多分、彼女はこの桐箪笥の扱いに困っているに違いなかった。息子さんのためにまとまったお金が必要というだけではなく、桐箪笥の買い手が見つからないというのもかなりのストレスになる。

「じゃあ、僕ではなくて、別の人物にあげたらどうでしょうか。彼も着物をたくさん持っていますので、しまう場所を欲しがるはずです。」

と蘭がいきなり言いだした。

「誰か、欲しがっている人がいるんでしょうか。」

と、佳代子さんはすぐ言う。

「ええ、あの、富士の大渕にある製鉄所と呼ばれている、施設があるのですが、そこに住み込みで暮らしている僕の同級生でして。」

「ちょっと待て。」

と、蘭がそういうと杉ちゃんが蘭の袖を引っ張った。

「やめておいた方が良いと思うよ。いくら何でも売れないからと言って、人種差別されている人に売りつけるのはちょっと、、、。」

と杉ちゃんに耳打ちされて、蘭ははっとする。

「いや、それよりも、大事に使ってくれるかどうかが大切だ。買い手の出身地も何も関係ない。」

と蘭はすぐに言った。佳代子さんは、買ってくれるの!と喜んでいて、急いで売買契約書を、机の引き出しから出している。

「ええ、僕は、そのつもりでいます。桐箪笥のお金は僕が払いますから、彼にプレゼントしてやってください。運送業者も僕が手配します。」

蘭は一度決断してしまうと、なかなか治まらないタイプである。杉ちゃんはあきれた顔をして蘭を見た。

「しかし、水穂さんに売りつけるのはどうかと思うぞ。それは親切じゃなくて、おせっかいというものになるんだろうなと思うけど?」

と、杉ちゃんが、蘭に言った。

「いや、僕は、水穂に何とかなってもらいたいから、この桐箪笥かいますよ。」

「そうですか、ありがとうございます。じゃあ、これから支払いについてとか、いろいろお話が出来ましたらと。」

と、佳代子さんは、何枚か書類を持ってきて蘭に見せた。

「よせよ、蘭。」

と、杉ちゃんはそういうが、蘭は話を続けてくれと言った。そのまま、二人は桐箪笥の支払いについてとか、クレジットカードがどうのとか、そういう難しい話を初めてしまった。お金の勘定ができない杉ちゃんは、口笛を吹いて終わるのを待っていた。


杉ちゃんと蘭が須津の中島家で、桐箪笥の支払いなどを話し合っている間、製鉄所では。

「ほら、水穂さん、しっかり吐き出してください。出せるものは出しておかないと、大変なことになります。」

手つだいにやってきた花村さんが、せき込んでいる水穂さんの背中をさすって、口元にタオルをあてがってやっていた。庭で洗濯ものを取り込んでいたブッチャーが、その有様を見て、あーあとため息をついていた。

「大丈夫ですか。しっかり。」

と、花村さんは、そういって水穂さんの口元についたものをふき取った。その間にブッチャーは、新しいタオルを、水穂さんの枕元に持ってきた。血液のシミというものは、洗剤で洗っても落ちにくいものだ。タオルのほとんどが、洗濯をしても汚れが取れなくなってしまっている。

「ほら、水穂さんタオル洗ってきましたから、これを使ってくださいませ。」

ブッチャーがタオルを置くと、水穂さんはさらに激しくせき込んだ。花村さんが急いでブッチャーからったタオルを口に当てようとしたが、其れには間に合わず、水穂さんの着物の襟は汚れた。

「あーあ、またやってる。」

思わずブッチャーはそういうことを言ってしまったが、花村さんがすぐに取り換えましょうと言って、タンスの中から着物を一枚取り出した。箪笥に入っているものは、銘仙の着物ばかりである。それ以外の着物なんてほとんどない。

「ブッチャーさん手伝ってくれますか。幸い、長じゅばんまでは汚れていないと思いますから。」

と花村さんの指示通り、ブッチャーは着物を脱がせて、新しいものに変えた。もう男性であるのに、衣紋を抜いているように見えるほど、水穂さんはげっそりと痩せている。もうどうしてこうなってしまうんだろうと、ブッチャーは思いながら、水穂さんの帯を結んでやった。

「ほら、横になって。薬を飲んで静かにおやすみなさい。」

と、花村さんが、水穂さんに薬を飲ませて、彼を布団に寝かせてやって、かけ布団をかけてやろうとした、ちょうどその時。

「えーと、磯野水穂さんのお宅はこちらでしょうか?」

と、間延びした声で、誰かの声が聞こえたので、ブッチャーも、花村さんもびっくりした。

「何ですか、一体何が起きたんですか?」

と、花村さんが言うと、

「はい、こちらに桐箪笥を設置するようにと、命を受けたものですから、その下見に来させていただきました。」

と運送業者の制服を着た二人の男性が、部屋の中にずけずけと入ってくる。花村さんもブッチャーも困ってしまった。

「あの、どなたから命を受けたのでしょうか、私たちは、桐箪笥を置くように命令した覚えはありませんけど。」

と花村さんがいうと、

「はい、伊能蘭様です。なんでも、磯野水穂さんにプレゼントするそうで。」

と運送業者は、したり顔で答えた。

「蘭さんが、そんな余計なことをしたんですか。」

ブッチャーはびっくりしてしまう。着物をしまう箪笥なんて、もうちゃんと買ってある。其れよりも、箪笥に入っている銘仙の着物を処分してくれないかとブッチャーは思うのだった。なんでわざわざ人種差別の象徴みたいな着物でないと落ち着かないのか、ブッチャーは水穂さんのそこが嫌で、仕方なかったのだ。

「とにかくですね、私たちは、桐箪笥が欲しいと注文した覚えは一度もありません。それに、桐箪笥を設置する場所もありませんし、水穂さん本人は、重病のため動くことなどできませんよ。蘭さんに

その旨を伝えて下さい。」

と、花村さんが言った。業者はその花村さんの威厳のある顔を見て、これはいかんなと感じ取ってくれたようだ。まったく、権威のある人というのはそういう時に得をするものだ。それはうらやましいなとブッチャーは思ってしまうのだった。

「わ、わかりました、、、。」

と業者たちは、その顔に驚いて、すごすごと部屋を出て行ってしまった。薬のおかげで静かに眠ってしまった水穂さんのことをブッチャーは、やれやれと思った。

「あーあ、せめて水穂さんが、桐箪笥ではなくて、」

と言いかけると、花村さんが、

「ブッチャーさんそれはやめましょう。仕方ないことですから。水穂さんにとっては、銘仙の着物を着ていないと落ち着かなかったんですよ。」

と静かに言った。

「しかし、俺は、水穂さんに、もう銘仙にこだわる必要はないと言いたいんですけどね。」

とブッチャーが言うと、

「いや、差別とか、偏見というのは当事者でないと分かりませんよ。水穂さんの状態を見ればそれはわかるじゃないですか。今の医療で、普通のひとであればここまで悪化させることもなかったと思いますよ。」

と花村さんはきっぱりといった。

「とにかく、蘭さんには、クーリングオフかなにかしてもらって、桐箪笥の契約を取りやめにしてもらいましょう。水穂さんを動かす事は今はできませんから。」

花村さんは、そういって、自らのスマートフォンをとって、電話をかけ始めた。多分蘭のもとへかけているのだろう。ブッチャーは、それをあーあとため息をついて見つめた。


「そうですか。相手の方は欲しくありませんか。」

と、佳代子さんは、申し訳なさそうに言った。

「すみません。僕が、彼にとっては必要だろうと思ったばっかりに。」

蘭は佳代子さんに深々と頭を下げる。

「いいんですよ。だって真剣にこの箪笥を欲しがってくれた人は、誰もいませんでしたもの。先生が初めてです。そうやってくれたの。」

と佳代子さんは、そういってくれるが、蘭はもう恥ずかしくて、穴があったら入りたい気持ちだった。

「まあ確かに、お前さんが水穂さんに桐箪笥送ってやりたいのもわかるけどさあ。水穂さんにとっては、いい迷惑なんじゃないの。」

杉ちゃんが、蘭の顔を見ながらそういった。確かに今回は、蘭が起こしたことであるが、そもそもこの桐箪笥、何のために作ったのだろう?買い手が見つからないというだけではなく、桐箪笥の存在自体が、佳代子さんにも、重荷になっている。ご主人が脱サラしたとか、障害のある息子さんのために売りたいとか、いろんな思惑があったとしても、桐箪笥は桐箪笥でただそこにいるだけであったのだ。

遠くで、カラスがかあかあと鳴いて飛んでいく音がした。何だか自分たちのことをバカにしているというか、何か言いたそうな鳴き声であった。しばらく人間たちは、何も言うことができず、その場で黙っているしかなかった。ただ、わずかな芳香を放つ桐箪笥が、部屋の真ん中にまるで、図体の大きくて、何も考えることができていない人間のように立っていた。桐箪笥には何も罪もないのだが、今は使い道などどこにあるんだろうか。






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杉ちゃんと桐箪笥 増田朋美 @masubuchi4996

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